「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ36)

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“ 今日、暇？”

なんて、そんなナチュラルに聞かれても
どうしたらいいのか分からない私。

玲於さっきの話だけど

玲於この前の、メシのお礼させてくんない?

いや、今日ってナウでしょ？
仕事終わってからの今日なら暇だけどさ

多分テッペン超えちゃうよ、スチール撮影もあるから、その分収録長くなるって聞いたし。

「杏さん、今日って何時くらいに終わりますかね」

杏「うーん、みんなが頑張ってくれれば日付け変わる前くらいかな。」

「 … ですよね」

ほうら、やっぱり

結局玲於さんもテッペン超えるまで仕事なんだから私と会う時間なんてないよ

それにお礼ならもうとっくに貰ってるよ

具合悪い私を助けてくれた。それだけで十分なのに

玲於「ちょ、みんな今日早く終わらせよ」

隼「ちゃっちゃと終わらせて帰ろうぜ～！」

涼太「あの、もうちょっとやる気出してもらっていいすか？笑」

連日仕事続きのメンバーは文句一つ言わずに毎回ロケや収録に挑む

そりゃあ、それが彼等の仕事なんだけど

ラジオとか個人の仕事とかでそれぞれ頑張ってるから、少しでも休んでもらえたらなぁ

なんて最近は思ってるんだけどね

…

PM 23:25

早く帰りたい皆さんの頑張りもあって、予定時間より巻いて収録を終えた。

私は新企画の担当メンバーにもなってるから
先輩たちと相談しながら一つずつ案を考えていた

玲於「あれ、まだそっち終わんないの」

杏「 A、今日はもう大丈夫だから行っていいよ」

「え、良いんですか？」

“ 何か用事あるんじゃないの？行ってきなよ ”

なんて言って杏さんは私に先に上がるように言った
いつも私に頼み事してるのは悪いからって

今日何時に終わるかって、さっき聞いたからかな

「 … って事で終わり、ました。」

玲於「ん。じゃあ店予約してるから行こっか」

「え、予約したの？」

どこ行きたい？何食べたい？

じゃあアレにしようか、なんて感じで決めて行くのかと思ってたら

もう予約してるから行こうって
なんか、嬉しい

私と行くために予約してくれたんだって

玲於「ごめん、勝手に決めちゃった」

「全然大丈夫。ありがとう玲於さん」

玲於「ナオトさんに、良いとこ教えてもらったんだ」

そう言って、私たちはタクシーに乗り込んだ

彼とこうして車に乗るのは２回目だ

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