「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

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玲於さんは頬に傷を付けて来た。

昨日はなかったのに … 片方だけ真っ赤になってる
聞けば彼女さんにビンタされたとか。

喧嘩、しちゃったのかな


いくら喧嘩しても ビンタなんて相当だね

玲於さんわりとケロッとしてるし大丈夫なのかな
なんて、ちょっとだけ気になる。





玲於「 じゃあAさんは喧嘩しても彼氏とか殴んないの？」


「 … いや、ないです。ないない 」





殴りたくなるほどムカつくくらい腹が立ったら私なら暫く放置しちゃうな

なんて、実際そんな喧嘩さえした事ないから分からないけど


…



今日は週末、ここ2週間は休む間もなく仕事仕事でちょっと疲れが出て来たかも。

十代の頃は平気だったのにな、なんて少しの老いに苦笑い


ちょっと頭痛いかも …





隼「 Aちゃーん！小森ブレンド飲む？」

「 え、飲みたいです！」



冷房とか当たりすぎちゃったのかな、

それか肩でも凝ってるのかな。
今夜は温まるバスボムでも入れようかしら

痛みがひどくならないといいけど …



小森ブレンドを頂いた私は、少しの間ブレイクタイム。足も浮腫んでるし最悪だ

今日さえ終われば 明日は久しぶりの休みだ、頑張らなくちゃ





玲於「 Aさん、大丈夫？」

「 … え？」


玲於「 なんか、疲れてる？ずっと働きっぱなしって聞いたけど 」





もう、杏さんたちお喋りさんなんだから …

この業界には土日も祝日も関係ない。
勉強も兼ねて私も「やります」って言ってるんだけどね。





「 ちょっと、頭痛くて 」

玲於「 薬は？」


「 帰って温かいお風呂に入れば治りますよ 」


玲於「 … お風呂で治るもんなの？熱じゃねーの 」





同じ姿勢でパソコンや資料とにらめっこしてたから、目や首の疲れから来たのかな

こういう時にマッサージ機が欲しいと思う




「 ちょ、玲於さん … 私は大丈夫ですって 」

玲於「 いいから、ジッとしてて 」




玲於さんの丸っこくて柔らかい手が、私のおでこに手を添えた。

体温を確かめる為に 暫く私の顔を見つめながら、熱がないかと触れている


だめだ、こんな至近距離はドキドキする …





玲於「 … 熱はないみたいだけど、無理しないで 」


「 私は、平気ですよ？ 」

玲於「 ったく、俺が平気じゃねーの 」





なんで私なんかの為に 心配してくれるのかな

玲於さんは、本当はとっても優しい人なの？



俺が平気じゃないって、どういう意味なんだろう



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