「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

stage 22 ページ22

Reo side





〜 ♪

俺は今、機嫌がいい。

事務所へ向かう車の中で、無意識に鼻歌を歌ってしまうほど気分が良い

なんてったって今日は朝から赤城さんと一緒だったから。



朝を共にした、ってやつ

そこだけ聞いたら超怪しいけど 俺らは至ってクリーンな関係。透明すぎて見えないくらい何も無い





涼太「 … なんか楽しそうだね？」

玲於「 朝からうまいもん食ってきた 」


涼太「 なに食べたの？」

玲於「 ふれんちとーすと 」






赤城さんてば、おれんちの冷蔵庫開けて卵と牛乳とちょっとしかないからって

フレンチトースト作ってくれたんだよね

あの人は味噌汁にご飯ってイメージだったからちょっと意外だったけど。

オシャレかよ、ってな





メン「 自分で作ったの？」

玲於「 え …… あ、うん 」


龍友「 うわ、何今の間！」

亜嵐「 怪しすぎるっしょ、」





結局、昨日の飲み会で俺が知らないうちに帰ってしまった事で怪しまれた。

赤城さんとの事ではなくて
彼女の家に泊まりに行ったんだろって

んで今日俺の機嫌が良いのはそのせいだって


全然ちげーけど。つか今彼女とは連絡返してねーし(笑)






「 おはようございまーす 」

隼「 あ、Aちゃん！昨日大丈夫だった？」


「 へ、昨日？」


隼「 急に帰っちゃうから俺心配したんだよ？飲ませすぎたかなぁって 」






あ、来た。

ついさっきまでおれんちでフレンチトースト作ってた赤城さん。

泥酔した俺の事「仕方ないなぁ」っていいながら甘えさせてくれた人。


よしよし、とか言っちゃってさ。
こっちはドキドキするのに、寝たフリすんのも大変だったわ






龍友「 気付いたらおらんもん、びっくりしたわ 」


裕太「 大丈夫なん？」





彼女を心配するメンバーたち

まさか昨日、俺が酔ったフリしてお持ち帰りしたなんて知らない。

さっきまで一緒にいたことも、フレンチトーストを作ってくれたのも全部赤城さんなんだって

全部俺だけの秘密


俺だけしか知らない彼女の素顔






「 大丈夫ですよ？あの後すぐ寝ちゃいましたし 」


涼太「 今度はちゃんと送るからね？」

「 ありがとう、涼太くん 」





やっぱり涼太くんは、そういうことさり気なく言えるからすごい

俺なんて、いくら相手を落とそうと思っても恥ずかしくて言えない


酔ったふりして甘えたら 優しく受け止めてくれた彼女。

さて、これからどうしよっかな





.

stage 23→←stage 21

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す