「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

stage 16 ページ16

.





「「 かんぱ〜い！」」



都内某所の焼肉店の個室で、男女10名がこぞって乾杯。
なぜこうなったかというと …

あの佐野さんが、私に「 この後飲みに行こうよ 」と誘ってきたのが始まりで

私は驚きと動揺が隠せないまま、今ここに至る。






龍友「 A何飲むん、お酒飲めるやろ？」

「 さっき頼んだから大丈夫ですよ？」


杏「 も〜龍友くん！A困ってるから！笑 」


龍友「 ええやんか〜今日くらいパーっと行こ！」







白濱さん提案で、今日はスタッフも交えて飲みに行こうということで

じゃあこの春入ってきた私の歓迎会も含めて今日やっちゃおうと。

それで私は、佐野さんから誘われたってわけで





涼太「 玲於、大丈夫？もう顔赤いよ？」

玲於「 らいじょーぶ！」





なぜか私の右隣には佐野さんがいる。

もう私が来た時にはそこしか空いてなかったし
これはもう、お酒の席で落とすチャンスかな

なんてちょっと内心喜んでみたりしたけど

佐野さんは開始1時間くらいで酔いが回ったのか顔が赤くなっている






メン「 玲於お酒弱いからねー。あんま飲ませないようにしないと 」


亜嵐「 酔っ払ってAちゃんに甘えたらおもしれーだろうな(笑)」





いや、面白くない面白くない
そんな事が起きたら私の計算が狂ってしまう。

私の計画だと、お酒の席で2人とも良い感じに酔って

そのあと「 じゃあもう一件行く？」的な流れで抜け出せるかなって思ったのに


まさか、彼がお酒が強くないなんて誤算だった …







涼太「 Aちゃんも無理しないで良いからね？帰りたくなったら俺、送るし 」


「 ありがとう … 涼太くん 」


涼太「 夜だし、女の子1人で帰せないからさ。」






… はぁ、なんならもう半分くらい涼太くんに落とされかけてるかも。

なんでこうスマートなことをサラッと言えるのかな
やっぱり王子は王子だね

でもやっぱり、

私が落とすべき相手は 佐野さんでしょ？





「 大丈夫ですか？」

玲於「 うん、へーきへーき このくらいよゆー 」





余裕 … の割には目がとろんとしてる気がするし


彼の話す言葉は全部 “ひらがな” に聞こえちゃう

さては、ホントに酔ってるな。
甘えん坊な佐野さんなんて、初めて見るかも




玲於「 ねぇ、それうまいの？」

「 あ、これ … 同じの頼みますか？」


玲於「 やだ。それちょーだい 」





子どもみたいに駄々こねて欲しがったのは

私が飲んでいたシャンディガフ




.

stage 17→←stage 15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す