*Only winner* (ページ7)

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「おめでと」

『え？』

「え、じゃねーよ。
TEPPEN、昨日オンエアだったじゃん」

『……ああ』

玲於くんのその一言で、そういえば昨日が放送日だったっけ、と思い出した。

簡潔に結果を述べれば、優勝。

2位の人とはたったの1点差。
本当にギリギリのところでの勝利だった。

メンバーには結果を事前に伝えていなかったから、昨日の放送後はグループLINEがうるさいぐらい盛り上がってた。
その他に先輩方や後輩、親戚や両親の関係者の方からも沢山連絡を貰って、携帯が全然鳴り止まなくて大変だった。

「自由曲、あれは予想外だった」

『ああ、Someday？』

「EXILEの曲ならLovers Againも時の描片もGENEでカバーしたじゃん。なんでアップテンポにしたの？」

私の隣に腰を下ろす玲於くん。
なんで、と言われたら……。

『カバーした曲は、やったことあるんだから弾けるだろって言われるの嫌だったからやめた』

「へえ」

『あとは、いろんな人が聴いたことあって楽しめる明るい曲にしようと思って』

「ふーん、それでSomedayね」

私の一言に納得したように頷いた玲於くんは、ゴソゴソとデニムのポケットを漁る。

「まあ、凄かったよ。ってことで、ほい」

『……うん？』

「優勝のお祝い」

差し出された小さな箱を受け取って中身を取り出すとシルバーのネックレスがシャラリと音を立てる。

『ト音記号だ』

「……何？なに記号って？」

『ト音記号。えっ、知らないで買ったの？』

プレゼントに選んでおいて、まさか知らないとは。

「お店の人に音楽系のモチーフのやつで良いのないですかって聞いたら、それ出してくれた」

『テキトーだなあ……』

「文句言うなら返せ」

『うそうそ。めっちゃ嬉しい、ありがと』

その場で身につけて「どう？」って聞いたら満足げな顔をされたから、似合ってたみたい。

「いいね」

『すごい可愛い』

「一応それ、石、タンザナイトだから」

『……たんざないと？』

「12月の誕生石らしいよ」

12月。
私の誕生月だ。

『……へえ』

「お前さては興味ねえな」

『あんま無い』

「だろうと思った」

首元でキラリと光る青い宝石。
ト音記号の中心に埋め込まれたそれは、控えめだけど確かに輝きを放っている。

『……これもう一生外さない』

「そんな気に入った？」

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