*Only winner* (ページ46)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:125,459 hit

◇ ページ46

.

『……ごめん、ほんとに』

ぽつりと呟いて、俯くAさん。

『……自信が、無いんだよね』

「自信が……？」

『尊敬してもらえるような凄い人間じゃないのにって思う。
褒め言葉とか、純粋な気持ちで言ってくれてるって頭では分かってても、自分で自分に自信が持てないから受け止められない』

そう言ってAさんは、哀しげに笑った。

あんなに大きなステージに立って、割れんばかりの歓声を浴びて、数え切れないほどの称賛を受けてきたはずなのに、それでも自信が持てず、こうやって自分を卑下する。
なんだか切ない気持ちになった。

「……じゃあ、分かりました」

『え、……？』

何がだ、と言いたげな顔をするAさんの手を取って向かい合い、包み込むように両手を握る。

「Aさんが自信持てるように、今まで以上に言葉にして伝えます。Aさんがどれだけ凄いのか、どれだけの才能に溢れた人なのか」

『……は、』

「ライブも歌番組もバラエティも全部チェックして、全部Aさんに感想言います」

『……え、ちょ、』

「Aさんが自信持てるようになるまで、俺に手伝わせてください」

図々しいかなと思ったけれど、やっぱり、好きな人には幸せでいてほしい。
あんな哀しい笑顔じゃなくて、心からの笑顔でいてほしい。

クールなところが魅力的な人ではあるけど、Aさんは屈託無く笑ってる時が1番可愛くて輝いてると思うから。

『……なんでそこまで』

「好きだからっすよ」

『……ふふ』

「え！？なんで笑うんですか！？」

真面目に話したつもりなのにいきなり笑われて、流石に驚いた。
そんな俺を見て、Aさんはさらに笑みを深める。

『いや、面白い人だなと思って。海青くん、ほんとに私のこと好きだね』

「、当たり前っすよ！本気ですからね！」

『分かってる、ありがとう。
今すぐには無理だけど、私も褒め言葉はちゃんと受け入れられるように頑張る』

そう言ってAさんは、ふわりと笑った。

ああ、やっぱりこの人は、笑ってるのが1番可愛い。

─────────────────────

長々と続きましたがここで一旦「はじめましてのときめき」は終わりです。
タイトルからだいぶ脱線した気がしないでもない。

Twitterで後日談更新してます。

@alice_jr_exile