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2020年12月上旬───

『お疲れ』

「お疲れー」

GENEのLIVE×ONLINEのリハ終わりにスマホを開くと、柚那から《話したいことがある》とLINEが入っていた。

柚那から呼び出されるなんて相当珍しくて、どうしたんだろう……と思いながら待ち合わせ場所に指定された事務所の会議室に行くと、先に着いていた柚那に笑顔で迎え入れられた。

『うわあ、柚那だあ』

「うわーって何？」

『いや、久しぶりやなって。深い意味は無い』

「ないんかい」

EXPG大阪校時代から面識のある柚那。
VBA3の時はライバル同士だった。
オーディションや合宿を一緒に乗り越えてきた、私にとっては唯一の同期的な存在。

お互い関西圏出身ということもあって、あまり関西弁が出ないと言われている私も、柚那と2人になれば自然と昔を思い出して関西弁がスラスラと出てくる。

席に着いて、さあ何の用だと言わんばかりに柚那を見つめると、ニヤリと笑った柚那は「A、28日のスケジュール空いてる？」と本題を繰り出してきた。

『28日？、空いてる、と、思うけど……』

「ほんま？良かったー！」

『え、なに？28って、柚那はライブじゃ……』

「そのライブのことで相談があるんやって！」

『は、？』

12月28日。
E-girlsにとって、最後のライブとなる日。
そんな大事なライブのことで、私に相談したいことなんて……。

皆目見当もつかずキョトンとしている私を見て、柚那は吹き出した。

「なんつー顔してんの」

『いや、だって……意味分からんのやもん。
ちゃんと説明してよ』

「あー、ごめんごめん。
じゃあ、単刀直入にお願いさせてもらうわ」

『、うん』

「……E-girlsのラストライブに、ゲスト出演してもらえませんか」

『………………は、？』

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