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「ユイ……」

私はユイの名前を口に出した。
瑠璃ちゃんが「ん?」と私の顔を覗き込んだ。

「ユイちゃんのところ、行きたいの?」

私は頷いた。

「はははッ。そうだよねぇ。大事な友達が保健室に行っちゃったもんね〜」
「私、ユイちゃんと久しぶりに話したいし……」
「……私もユイちゃんに会いたいかな。皆で保健室行こうか」

ナナちゃんが提案してきた。
もちろん、女子全員はOK。で、男子は〜……ってことになるんだけど。

達也君は、「ケッ」と舌をならした。
「チッ」じゃないのが変わってる。

「いいよ。皆で行こうぜ」
「んじゃ、僕も行くよ」

これで皆決まりか!!

そして、私達は保健室に向かった。
残りの休み時間は五分だけだが、ユイの様子を見るだけなら時間に余裕を持って帰ってくることが出来るハズだ。

ユイ、可笑しくなってないよね?
もう戻ってるよね?あの明るいユイに。


……三階から一階におりて、私達は保健室の前に立った。
達也君が扉をコンコンと叩き、「失礼します」と言って扉を開けた。

達也君が中に入り、私達も中に入った。先生は不在だった。
保健室の中央にあるテーブルと4つのイス。
そのうちの一つのイスにユイが座っていた。

「あぁ、A?」

私達に背を向けていたユイが振り向いた。
その目には、光が無かった。
ほんの少しの希望が消えていった。

「へへ。どうしたの?どうしたの?」
「ユイ?もう大丈夫なの?」

私はユイに尋ねた。
ユイは頷いて笑った。

「もう、頭痛くないの。どこも痛くないんだよ」
「そう。なら良かったわ」

いきなり、花ちゃんの声が低くなった。
あの、ウザイ喋り方じゃなかった。

ユイがきょとんとして、「花ちゃん?」と言った。
すると、花ちゃんがユイに近づいて言った。

「あの手紙の意味、教えてくれないかしら?」

手紙?
ふと、「仲良くしようよ」と書いてある白い紙を思い出した。

「Aちゃんの席の中にあるのが見えたわ。また同じことする気?」
「同じこと?なぁに、それ。手紙なんて私知らないよ?」
「知ってるはずでしょッ!?あんた、私にも昔、したじゃない。確か中身は……仲良くしようよだったかな?」

それを聞いた瞬間、私は悲鳴を上げた。

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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時

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