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「それでね、一番酷かったのは卒業式のときよ」
卒業式のとき!?
そんな大事な日に？
「あぁ、あのときか……」
達也君が目をふせて言った。
他の子たちも目をふせている。
そこまで嫌なことがあったのか。
私はとても気になった。
ユイに何があったんだろう。
「歌を歌うとき、一斉に皆で立ち上がったの。そのときは、私の隣の席がユイちゃんだったの」
「ちなみにぃ〜、ユイの後ろに里子とさおりが居たのよ〜」
「そうだったっけ？」
「瑠璃覚えてないのぉ？まあ、いいけど」
はやく続き言ってよ。
何が起きたか気になるじゃん。
時間も時間だしさー。
私の様子を察してか、サトル君がナナちゃんの肩を指でつついた。
ナナちゃんはハッとし、「ごめん」と言って話を続けた。
「でね、最悪なことが起きたんだ。……里子ちゃんとさおりちゃんが、ユイちゃんを思いっきり押したの!」
今日、ユイが里子とさおりに押されて、机に衝突してすすり泣いたのを思い出した。
もしかして、卒業式のときの記憶が甦って、余計苦しくなって泣いたんじゃ……。
「ユイちゃんにとっても、私達にとっても不意打ちで、ユイちゃんは前に倒れた!!そしてそのまま……ユイちゃんは、前のイス頭を打って!!……あぁ!」
ナナちゃんが手で顔を覆った。
「酷かったのよ、皆!!見てなかったふりをして、そのまま卒業式を続けて!!ユイちゃんはとても痛かったはずなのに!!泣きたかったはずなのに!!」
「お、おいナナ。落ち着けって……」
「落ち着け!?ねぇ、どうしてサトルは落ち着けるの!?あの場にいた生徒の半分は落ち着けなかったはずよ!!私も落ち着けなかった!!だって、だって＿＿!!」
ナナちゃんが手を顔から離して叫んだ。それはそれは、とても衝撃的な言葉を。
「だって、あの場にいた半分の生徒は、ノアにいじめられたことあるんだもの!!」
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作者名：ムクロねこ | 作成日時：2015年7月6日 0時
