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「名前は本当に言えないのか?」
「言えません……」
あぁ、もう。ムカムカする。
今すぐコイツを殴りたい!蹴りたい!
私はウズウズしていた。
もはや私は暴力女だった。
さっきからノアを蹴ったり殴ったりする私を頭の中に浮かべている。
最低だと思う。でも、それ以上にノアは最低なのだから、私は悪くない。
「先生、あの……」
「ん?なんだユイ?」
「あの、もう休み時間終わってますが……」
「そうです。もう授業が……」
私もユイと一緒に言う。
先生は困ったように「あぁ、そうだな」とだけ言った。
「でもな、こっちの方も大事だ」
しらねぇよ。んなこと。
早くかえせよ。つまんなくてこっちはイライラしてるの!
「ノア、お前に命令を下したといういじめっ子の名前を言えば早く教室にかえせてやれるんだ。なぁ、名前を言ってくれよ」
「それが、無理、なんです。怖くて怖くて……その子にいじめられるのはもう、嫌なんです……!」
ノアは泣きはしないものの、苦しそうにそう言って退けた。
先生はもうそれ以上ノアには何も言わなかった。
「それじゃあ、教室に返してやろう」
先生がそう言ってパイプイスから立ち上がった。
そして、ドアを開け、「早く行け」と顎で廊下を指す。
私とユイは足早々にドアをくぐり、廊下へと出た。ノアはまだ生徒指導室に残っていた。
ノアはなぜ残るんだろう。
なんか胸のあたりがモヤモヤする。なんでかなぁ……。
そんなことを思いながらユイと自分達の教室がある三階に続く階段をのぼった。
「ねえ、ユイ」
「なに?」
「大丈夫?」
ユイは私から目をそらした。
早く会話を終えたいときのユイの癖だ。
私はそれ以上何も言わなかった。
ユイは本当に大丈夫なのだろうか……。
ノアのことも気になるし、ユイもユイだし、授業に集中出来なさそうだ。
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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時