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____思っただけ。
結局居なかった。
私の思いは打ち砕かれた。
打ち砕かれたのはその日の放課後だった。
「Aー、じゃあねー!!」
「うん、じゃあね〜」
「次サボろうとしないでよ〜!」
「アニメ見るために帰るとかもなしだよ〜!」
「ラーメン食べるためとかもダメだから!」
どんなに信用されてないのか……。
私は部活ではとても明るい。
部活にいるときの私は本当の私。後輩もいい子たちだし、同学年の子は優しくて面白い。
あんなうるさい「男子」たちとは違うのだ。むしろ正反対だ。
「分かってるって!またね〜」
『またね〜』
学校の二階にある公衆電話に向かうために階段を下りる。
四階にある第二音楽室や他の何個かの教室からは吹奏楽部の演奏が聞こえる。
パートごとで練習か。ご苦労さん。
雨はすっかりやんでいるけれど、お母さんを呼んで楽々と帰ろう。うん。
実は、いつもお母さんを呼んで帰ってるけど……。
部室である美術室がある四階から三階に下り、二階に続く階段へと足を向ける。
そこで、あることに気づく。
___筆箱忘れた……!?
美術室に忘れてきてしまったのを思い出した。
なんで忘れてきたし!!バカ!!また階段のぼることなっちゃうじゃんか!!
美術室に行くために四階に行く。
四階につけば、より一層強くなる吹奏楽部の演奏。
と言ってもパートごとの練習っぽいから、音はバラバラ。でもそれも一つの演奏だ。
「あれ?A先輩?」
「お、未来ちゃんじゃん。まだ残ってたの?」
「先輩こそどうしたんですか?」
あらま偶然。
同じ部活の後輩、未来ちゃんだ。
未来ちゃんはとてもいい子で、ノリも良くて、見た目も可愛い。いじりたくなるくらい可愛いのだ。
「筆箱忘れちゃってさ〜」
「あれ、先輩のなんですか?」
「……うん」
未来ちゃんが肩に下げていたスクバを開け、何かを取り出す。
水色の入れ物のような物……。
そしてその入れ物にぶら下がるキャラクターのキーホルダー……。
……私の筆箱だ!
私は筆箱を未来ちゃんから受け取り、「ありがとう」と言う。
「いえいえ。先生に届けようと思っていたところなんです」
「そうなんだー」
「先輩、アニメ好きなんですね」
「へ?」
アニメ…?
あぁ、このキーホルダーか。
「先輩、自由製作のときはいつもアニメのキャラクター書いてますし……」
「ち、違うよ!?これはゲームのキャラなの!確かにアニメは好きだけど……そこまでオタクってわけじゃなくてね!」
未来ちゃんが微笑んだ。
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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時