託す ページ15
「なぁ、相棒。シエルちゃん……どっか傷跡増えてなかったか？」
「え？わかんないな。スーツ姿だったから」
「そうか……」
「……本人はあんまり過去の話をしたがらなかったし誰がどうなっとか他にいっさいいわなかった
戸籍も何もかも変えてたし」
「……新しい名前ってなんだったんだよ？」
「真田エマ」
「妹の名前と兄貴の名前、一文字ずつ入れてんじゃねーか」
「あっ、ほんとだ……」
「……十二年たっても俺らにいわず一人で戦ってたんだな。戸籍も何もかもかえて俺らのこと巻き込むたくなくて……」
「千冬。未来ですげえ罵倒されてたんだ。だけどしようがねえと思う。未来の彼女のいってること全部正したかったからさ」
「……未来では孤独なんだな。シエルちゃんは。性格は変わってても本質だけは変わらなかったんだな。場地さんのことだけじゃなくマイキー君もみんな、助けようとしてたんだな……」
「本人には言ってないけどいってたんだよ。未来のシエルちゃん」
『私は全部君に託す。君しかタイムリープができないからな。……私は全員助けたかったんだ
でも不可能だった。頼むぞ、タイムスリーパー』
「シエルちゃんらしいな。つーか、生きてたとしても救われてねえんだな。シエルちゃんは
つーかあのこといわなくてよかったのか？」
「シエルちゃんがいなくなってから闇落ちしたなんていえるわけないじゃん」
「他人の価値はわかってるくせに自分がどんだけ大切にされているか……なんでそんな簡単なことわかんねーだ。あいつは」
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作者名：不思議の国の有栖さん | 作者ホームページ：なし
作成日時：2021年10月19日 22時
