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new上司からの依頼 ページ9

「西條君、ちょっといいかね」




「はい……?」




新しい職場の上司に呼び出されデスク前に立つ。



周りは私を横目にこそこそとし始める。



その反応が私に不安を煽らせる。




「先日の書類、あれは君がまとめたのかい」




「はい、先方が時期を早めたいとのことで……何か不備がありましたか?」




一週間も先の書類を今週中に迫られて焦りながら
まとめた書類のことだ。



……もしかして怒られる?



相談もなしに書類に手をつけたことは謝ります。



不安を抱きつつ上司の顔色を伺う。



すると目の前の上司は曇らせていた顔を明るくさせて微笑んだ。




「そうかそうか、やはり君か。仕事が早いことは賞賛しよう。が、次からは早めの報告を頼んだよ」




「はい、気をつけます。ありがとうございます」




一礼をして私のデスクに踵を返すと再び呼ばれた。




「お世話になっている会社にこれを届けてくれ。
そしたら今日は上がってもらって構わないよ」




上司から丁寧に包装された高級なお菓子と
書類入りのクリアファイルが入った封筒。



裏紙に少し乱雑だが分かりやすくに描かれた地図を手渡され、上司はにこりと笑って私の背中を軽く押した。




「じゃあ、いってらっしゃーい」




手を振る上司に周りの同僚も目を丸くさせる。



失礼します、と頭を下げて私は会社をあとにした。





ゆるいにも程があるよ、上司さんよぉ。

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作者名:榊 リョウ | 作成日時:2019年8月13日 19時

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