確認したいこと ページ16
「こっちはレベッカ。仕事でもプライベートでも仲良くしてくれた子なの」
「ホォー」
「で、今度はこの写真はね〜.......」
アメリカで出来た仕事仲間との写真を見せて零くんに思い出を語る。
一年っていうのは意外と短いもので、また行きたいなとかまた会いたいなとか思ってしまいがちな私だ。
もっとよく見せろ、と零くんが興味を持ったので嬉嬉としてスマホを渡す。
「随分と仲が良さそうだな」
「日本人はシャイだからそう思うだけで海外では普通だよ、そのくらい」
零くんが見せてきたのは酒場で友人(男)が私の頬に口づけしている写真だった。
ああそれね、と私はその時の状況を思い出して呆れながら伝えた。
すると零くんは目つきを悪くして口をとがらせた。
「ボディタッチが多いからってここまで触らせたのか？」
「 その時はお互い酔ってたししょうがないこと。それにあとで謝ってくれたし」
写真をスクロールする零くんからスマホを奪い返し、もうこの話はおしまい、と打ち切るように言った。
気まずい空気にため息をついて零くんから視線を外した。
「向こうでいい男はいたのか？」
「.......そんなこと聞いてどうするの」
「いたんだな」
「零くんに、関係ないと思う」
「関係ある。俺はお前が、
＿＿＿お前が好きだから、」
「.......え」
思わず振り向いてうつむく零くんに目を大きくする。
そして、私は少し経ったあと笑ってみせた。
「そ、そういう冗談やめてよ。からかいすぎ.......」
「嘘じゃない」
低い声ではっきりと言い切る彼に、笑っていた顔が歪んでいく。
「俺は今でもお前が好きだ」
その言葉に息を呑む。
嬉しいはずなのに心から喜べなかった。
どうしようと、とりあえず逃げたかった。
「ここで降りるね。送ってくれてありがと...」
ドアに手をかけて降りようとしたとき、横に彼の手が置かれた。
後ろから覆い被さるように、彼は私の肩に額を押しつけて弱々しい声で言った。
「好きだっ.......Aっ」
「っ.......」
勢いよくドアを開けて飛び出した。
必死に走っているからか酸素が回らないし、頭の中がごちゃごちゃしてて涙が出そうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：榊 リョウ | 作成日時：2019年8月13日 19時
