検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:8,592 hit

坊やと予兆 ページ11

「にしても凄かった、バッグで倒しちゃうなんて」




「うん、私も顔面直撃は想定外だった」




坊やの言葉に微笑みかえし、疑問を口にした。




「今さっきのお巡りさんと知り合いだなんて、坊やは顔が広いんだね」




「高木刑事のこと?」と首を傾げてこちらを見上げる坊やに頷くと、彼について話してくれた。



どうやら坊やが何らかの事件に巻き込まれると
すぐに駆けつけてくれる刑事さんらしい。



彼女さんは同じ警察官で一緒に行動している、
とかなんとか、私には関係無い話までしてくれた。



それから私について知りたがる一面が見られた。


けど さあね とか どうだろうね で切り抜けると、
「もうすぐで着くよ」と無邪気に笑顔を見せた坊やに不思議な子だという印象を抱く。




あれから帰り道ずっと繋いでいる手をキュッと
握ると小さくて温かい子供の手だと認識する。




「坊やは面白いね、いくつも顔があるみたい」




「えっ?」




「無邪気に笑うのは子供だから当然だけど、
たまに何か考え込むと大人の表情になってる」




「そ、そうかな」




私の言葉に動揺しながらも取り繕う姿にはやはり、大人の対応と多少の子供っぽさを感じられる。




子供っぽくない子供だなあ。




ふっ、と目を細めたがすぐに坊やの手を離した。




「じゃあね、坊や」




再びにこりと手を振って踵をかえすと、
真ん中までのぼった階段から声が響いた。





「僕の名前は、江戸川コナン、だよ」





「私は、西條 A。またね、コナンくん」




首だけを振り向かせて彼の名前を呼ぶと、
彼は満足そうな表情をさらけ出し手を振り返した。





私は何も見ていないし何も知らない。



坊や、コナンくんが上っていった階段の先に
毛利探偵事務所があることを。



さらに、その下には一昨日来店した喫茶店、
ポアロがあることを。



そして、私のスーツの袖の裏にガムが付着していることを。

すいようび→←ひったくりとサッカーボール



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.3/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
設定タグ:降谷零 , 安室透 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:榊 リョウ | 作成日時:2019年8月13日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。