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ぽたぽた、と雫が髪から垂れる。酒場内は静まり返り、みんなの視線があたしに注目していた。こちらを向いていないのはあたしの友達三人くらい。呑気に唐揚げをつまんでいる。
さっきまで水が入っていたグラスをリーダー格の子に押しつける。
「……頭ダイジョーブ？」
「おかげさまで頭は冷えてるよ。そっちこそ大丈夫？ この状況見たら誰でも、あたしが被害者で、あんたが加害者に思うけど」
「あんたが自分で水被ったってみんな見てたわ。こっちには証人がいるの」
「同時に、あんたらがあたしをボロクソ言ってたことも証明される。……わかる？」
「だから何？」
リーダー格の子がハッと鼻で嗤う。まだ状況が読めていないようだ。
「あたしが訴えれば、今までの暴言は名誉毀損罪と侮辱罪に捉えられるの。その場合三年以下の懲役か五十万円以下の罰金、拘留または科料になる。あんたらがやってたのは犯罪ってわけだよ」
「あんただって、未成年に手ぇ出して……ッ」
「さっき会話に出てきた男の子、あれは彼氏じゃなくてあたしの従兄弟だよ。うちに居候してる中学生。ていうか未成年とお付き合いすることは別に犯罪じゃない。淫らな関係じゃなければね」
リーダー格の子の顔が怒りで真っ赤に染め上がり、拳が強くきつく握られた。ああ殴られるのかなあなんてどこか他人事に思いつつ、話を続ける。
「ちなみに今ここであたしに手を出すことはオススメしない。きみから手を出してくれれば、あたしには正当防衛の言葉がついて回る。さらにあたしは喧嘩は徹底的にやる。……意味わかるよね」
要約すると『お前から手出してくれればあたしは正当防衛の言葉を盾に再起不能になるまでぼこぼこにしてやるよ』である。
中学時代のあたしは最強だった。喧嘩は売らずに買うスタイルで、手を出されるのを待ってから正当防衛として、やり過ぎたとしても捕まらないからいいやスタンスで相手をタコ殴りにする。そしてあたしは喧嘩になれば手段は問わない……なるほど恐れられるわけだ。
カースト上位女子軍団は今度は顔を真っ青に染め上げて酒場の奥に消えていった。
あたしの悪友どもがぽつりと呟く。
「……『過剰防衛』」
「あ、バレた？ 気づかないなんてアホだよね」
世の中には『過剰防衛』という言葉も存在する。つまり『正当防衛』にも限界があるということだ。
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えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……！ 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました！ (2020年5月25日 16時) (
レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね！ 更新頑張ります。コメントありがとうございました！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです！さっき更新された話もまじ良かったです！ 更新待ってますっ！！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです！ 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか？ コメントありがとうございました！ (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えりんぎ苺 | 作成日時：2020年5月21日 19時
