056 後悔 ページ7
「花音さん、すいませんでした」
次の日の朝、出勤すると早々に一織くんに頭を下げられた。
「私のせいで、」
「…一織くんだけが悪いわけじゃないよ。頭を上げて」
「いいえ、私のせいなんです。私があの時歌い出しを忘れたりしなければ、きっと…」
励ますつもりで言った言葉は彼に届かなかった。
もしわたしが彼も立場なら、自分のせいじゃないよと言われたところでそれを素直に受け止められるかと聞かれたらきっと首を振る。あの時しっかり歌えれば、少なくともみんなに動揺をさせることもなかっただろう。もしかしたらかつてないほどの盛大なパフォーマンスもしていたかもしれない。
「けど、違うんだよ」
「花音さん…？」
「もしかしたらとか、あの時ああすればって後悔することって、決して悪いことじゃないってわたしは思う。だって過去は絶対に変えられないんだから」
「………」
「でもきっと一織くんにだったら未来は変えられる。これからを、今をどう生きていくかで」
「そう、ですね…」
「それを導き出す力、君にはあるでしょ。わたしや紡ちゃんと一緒に、考えようよ。これからのIDOLiSH7が歩む未来を」
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「デビュー発表はマスコミを招待して大々的に行う予定です」
「ファンへの対応は慎重に行った方がいいですね。古いファンはショックが残ります」
紡ちゃんと一織くんが2人で今後の話をしていくそばで静かに話を聞いていた。プロデュースに関してはわたしは下手に口を出さない方がいいだろう。
後悔先に立たずとはよく言ったものだ。そして、一織くんに対してわたしはよくあんな大口を叩けたものだ。わたしの人生は後悔だらけだった。今でも後悔し続けているわたしが、未来を変えられるなんて口にするなんて。もし自身の事情を知れば一織くんはなんて思うのかな。IDOLiSH7はどう思うのかな。そんな不安さえも感じてしまう。
みんなには後悔を引きずっただけの人生を送らないで欲しい。わたしのようにはならないで欲しい。きっと一生わたしの後悔は拭われることはないだろうから、IDOLiSH7に対してそんな身勝手な願いを託していた。
「2人の露出が増える分、7人の活動場所も増やしたいんですよね。WEB番組とか…」
「紡くん、支度してー」
「し、社長？」
「その格好は？いつものスーツは？」
「今日は仕事はお休み。みんなに声をかけておいで」
「どこに行くんですか？」
「バーベキューです！」
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
