066 盗作 ページ17
「八乙女事務所が新曲のデモ曲を盗んだに決まってます！こんな恥知らずなことをして…っ」
「作曲してくれた人が、手違いでうちと向こうに送った可能性はないんですか？」
「それはないね」
「…思い出したんですけど、ミュージックフェスタの前、変な人に会ったんです」
「変な人？」
「未発表の曲をよこせって。インディーズなら未発表の曲がいくつかあるだろって」
「インディーズなら、ね…」
言いぶりと今回の総合を踏まえると、その人は恐らくTRIGGERの作曲者、つまり日向アキヒトだろう。八乙女社長は彼を認めていないようで、作ってくる曲も没ばかりという話だった。
日向アキヒト自身が追い詰められたゆえの行動だったのか。それとも八乙女社長の指示なのか。そこまでを予測つけることは難しいが、少なくとも今の時点でわかる事実はTRIGGERに曲を持っていかれてしまったということ。
「…過ぎたことは仕方がない。これからは事務所の管理、特に曲の管理には気をつけよう」
「デビュー曲はどうするんですか？PVまで撮ったのに…」
「もう時間がない。既存の曲で行くしかない。PVもスタジオを借りて撮影して、沖縄の絵は使えるところだけ使おう」
「はい…」
「くよくよしない！デビューを待ってるファンのために、明るく笑顔で頑張ろう！」
「はい！」
大切な歌を奪われた悔しさ、自分たちのものが盗まれたことへの怒り、そしてもうあの歌を歌えないという悲しみ。苦い気持ちを押し殺して、それでもみんなを待つファンのために笑顔でいなければならなかった。
盗また歌を取り返すのも方法としてあるが、相手が八乙女事務所のTRIGGERとなると難しい。
「TRIGGERが、関わっていないといいなあ…」
「？」
「みんな、すごくいい人たちだから。IDOLiSH7から歌を盗んできたことを知りながら歌ってるなんて、思いたくもないよ」
「そう、ですね…」
「…彼らがこのことを知らないでいてほしいな」
TRIGGERは、優しい人たちだ。自分たちが他人から盗んだ歌を歌っていたことを知れば、きっと彼らはもうあの歌を歌わなくなるだろう。当然だ、申し訳なさだけじゃない。歌うことすら恥ずかしく感じてしまうだろうから。
ーーーだけど、誰にも歌われない歌ほど悲しいものはない。誰にも愛してもらえない音楽ほどつらいものはない。「NATSU☆しようぜ！」が、誰かを苦しめる歌にはして欲しくない。そんな歌にならないようにというのは、作曲者にとっては一番の願いだった。
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる？｣というセリフは変ではないでしょうか？ (2019年5月21日 11時) (
レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬 | 作成日時：2019年4月12日 2時
