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ジュンはよく聞かずともわかる名家の次男坊だった。
ずっと別のクラスだったけど、名前ばかり先走って有名になってしまうほど。
自分でも「中間の家の子」を心から嫌がっている風ではあったけど
アタシの前では、ジュンはずっとただのジュンっていう女の子だった。
「この花はな、かすみそうっていうねん」
「おん、しってる」
「はまちゃんしってるん」
「ぼくやってすきなもののことはしらべる」
ジュンは普段はぼくといい、アタシと一緒にいるときはうちといった。
でもアタシはそんなに器用じゃなかったから、ずっといやいやながらもぼくといっていた。
出会った花壇の花を見つめて、ジュンが笑う。
「かすみそうな、ぼくのたんじょうばな」
「そうなんやあ」
「ほかにもいろいろあるねんて、すのーふれーくとか」
「今度ずかんでしらべよ」
「あとごぼう」
「ごぼう？」
「そう、ごぼう」
ジュンは転がりながらわらっていた。
失礼な！と思うことは無い、アタシだって笑ったのだから。
毎日ずっとジュンといたわけではなかったから
時折会えば、そのまま遊ぶわけでもなく同じ時間を過ごすだけ。
一般家庭よりももっともっと貧乏で田舎感満載のアタシと
名家のこどもであるジュンは明らかに釣り合いがとれていないペアだった。
「はまちゃん、うちな絶対自分をみとめてくれる人とかぞくになるんよ」
「かぞく？」
「かぞくって血がつながってることがすべてじゃないねんで」
「…うん」
「うちを男の子じゃなくて、ちゃんと女の子としてみとめてくれる人と家族になる」
「じゃ、じゃあ、ぼくは店をだしたい。ぼくや、じゅんみたいな子が少しでも笑顔になれるような」
「ええやん！うちもその夢のっかった！」
「じゅんの夢は家族をつくることやん！」
「夢がひとつじゃないとだめなんてことはないやろ？もしうちが家族つくるなら、はまちゃんやって家族の一員や」
こんなやり取りちゃうかったって！とジュンは言うけれど
結果こうなってるんやから、別にええやんな！とアタシは思う。
こんながきんちょが二人、世界は変えられなくてもせめて世間に抗いたくて
そんな約束をした、夏の終わり。
夏休みがおわったら、ジュンがいなくなっているのに
アタシは何も知らず、ジュンとこれからも笑い合えると信じていた。
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.→←【9】きっとずっと信じたかった Side:Hamako
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笙緒(プロフ) - とても感動しました。自身も普通ではないので、こういう話を書いてくれることに感謝しています。とくにハマ子さんの「完璧な中途半端になる」が刺さりました・・・ (2019年1月24日 4時) (
レス) id: e66222057e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - カマ愛とても好きなお話です！移行後も楽しみです！たくさん世間を知ったジュンちゃんを始め、言葉がどれも刺さりました。ハマコのお話はいろんな気持ちになりました…。せかんども楽しみにしています！！ (2018年12月19日 3時) (レス) id: 99b67e1c08 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 更新お疲れ様です。そして、ありがとうございます。毎回楽しく読ませていただいてます。個人的に、いろんな感情とマッチして、揺さぶられて、涙が出てしまいました。とても素敵な作品だと思います。これからも楽しみにしてます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 03516e5203 (このIDを非表示/違反報告)
うめはな(プロフ) - 初コメ失礼します(*_ _)深瀬さん更新ありがとうございます！何かのご縁で初めて深瀬さんに出会ってから1.2ヶ月ほど？でしょうか。この作品が本当に好きで積もる思いが多くありすぎるので文字制限の中で感想を伝えきれません…笑 セカンドも楽しみにしていますね。 (2018年12月18日 22時) (レス) id: 4b9dff3fa4 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 更新待ってました！嬉しすぎます！取り急ぎ嬉しい事だけ伝えたくて！時間作ってゆっくり読みます(^^) (2018年12月2日 19時) (レス) id: 69b62aacad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬
| 作成日時：2018年10月21日 23時
