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次の日、女の子はしげくんの席には行かなかった。
ツン、とした顔をして私のことをひと睨みしてから、教室を出ていく。
でもしげくんは何も言うことはなくて、いつもどおりおはようとだけ言った。
マスクをしていたから、目しか見えなくて何を考えているのかはわからない。
何もなかったのかな、きっとそうなんだろうなと思う反面、昨日来なかった理由はあの子なのかもしれないなとも思う。
こわい、こわいことだらけだ。
あっという間に放課後になって、部活のミーティングがあるらしいしげくんがバタバタと教室を出ていくのを見送ってから
いつもなら中庭のところで座って待つけど、トボトボと見慣れた景色を一人で帰った。
「男なんてかわいいものね、くらいに思っておけばええのよ。女は愛嬌、心を広く寛大に行かなきゃ。」
開店前のお店で既にドレスに身を包んだトモちゃんが「裏口から入りよ、こっちちゃうくて」と笑ってから「おかえり」と微笑む。
勝手を知ってるから、しげくんもよく表から入ってはみんなに叱られてえへへと肩をすくめていた。
昨日私が泣いたことを、のんちゃんはやっぱり話したのだろう。
トモちゃんは俯く私に「ほら、こっちおいで」とひらひら手を振った。
オレンジジュースがなみなみと入ったコップを握りしめて、ストローを齧りながら俯く私を撫でるトモちゃんは酷く大人に見える。
朝は髭が青いし、そり残しや！って慌ててリュウちゃんの剃刀を借りてるときもあるけど、誰よりも女性らしいのがトモちゃんだ。
やっぱり素敵だなぁと尊敬の眼差しでトモちゃんを見上げようとしたその時、「A！！！」と慌てた様子で開店前の店に入ってきたしげくん。
「何今更顔見せとんじゃワレェッ！！！！」
猛々しい叫びとともに、私の視界に写ったのは
キレイなミントグリーンのドレスを翻して、しげくんに美しいとび蹴りを喰らわせる神ちゃんの姿だった。
「ト、トモちゃん…？女は…愛嬌って、寛大って…」
「それは女としての話、今は人間としての話」
淡々と口にしたトモちゃんは、遠慮なくしげくんの身体にプロレス技を仕掛ける。
しげくんだって成長真っ盛りのそれなりにガタイのいい男子なのに、ピクリとも体を動かせないのを見て
本当に怒らせちゃいけないのは、トモちゃんなのかもしれないと本気で思った。
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笙緒(プロフ) - とても感動しました。自身も普通ではないので、こういう話を書いてくれることに感謝しています。とくにハマ子さんの「完璧な中途半端になる」が刺さりました・・・ (2019年1月24日 4時) (
レス) id: e66222057e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - カマ愛とても好きなお話です！移行後も楽しみです！たくさん世間を知ったジュンちゃんを始め、言葉がどれも刺さりました。ハマコのお話はいろんな気持ちになりました…。せかんども楽しみにしています！！ (2018年12月19日 3時) (レス) id: 99b67e1c08 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 更新お疲れ様です。そして、ありがとうございます。毎回楽しく読ませていただいてます。個人的に、いろんな感情とマッチして、揺さぶられて、涙が出てしまいました。とても素敵な作品だと思います。これからも楽しみにしてます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 03516e5203 (このIDを非表示/違反報告)
うめはな(プロフ) - 初コメ失礼します(*_ _)深瀬さん更新ありがとうございます！何かのご縁で初めて深瀬さんに出会ってから1.2ヶ月ほど？でしょうか。この作品が本当に好きで積もる思いが多くありすぎるので文字制限の中で感想を伝えきれません…笑 セカンドも楽しみにしていますね。 (2018年12月18日 22時) (レス) id: 4b9dff3fa4 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 更新待ってました！嬉しすぎます！取り急ぎ嬉しい事だけ伝えたくて！時間作ってゆっくり読みます(^^) (2018年12月2日 19時) (レス) id: 69b62aacad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深瀬
| 作成日時：2018年10月21日 23時
