「愛してない」 (ページ36)

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こんなに熟睡出来たのはいつぶりだろう。

目が覚めたら知らないベッドで寝ていて、起き上がってしばらくしてから気が付いた。

ここはひかるさんの部屋だろう。

わたしの体にはしっかり毛布と布団がかけられている。

『……しまった』

ベッドから降りてリビングに出ると、ちゃっかりスーツに着替えてココアを飲んでいるひかるさんと目が合った。

まずいと思ってすぐさま頭を下げる。

『す、すみませんでした……わたし、ベッド…』

「あーお前寝こけちゃうんだもんな」

『ごめんなさい、』

「重かった」

返す言葉もなく、そのままうなだれているとポンッと頭に手を添えられた。

そしてグリグリ撫でられる。

「嘘」

『え、』

「お前一人暮らしん時ちゃんと食ってたの？」

言ってる意味がよく分からなくて首を傾げる。

ひかるさんは不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。

「細すぎ。」

『えぇ、そうですか？最近太ったんだけどなぁ……』

「ガキ」

『……歳変わらないくせに、』

ムッと唇を尖らせれば、ひかるさんにまた頭を撫でられた。

わたし、ひかるさんに頭撫でられるの好き。

知らなかった温もりが、凄く心地良いから。

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「今日は大学？」

その言葉に頷き、朝食を片付けながら溜め息を零す。

ひかるさんには言ってないけど、翔太の事があって以来ほとんど行ってない。

とりあえず行きたくないのが本音だけど、そろそろちゃんと行かないとまずい。

嫌々真面目に通学してたけど、3年目にしてこんなに休んだの初めて。