「愛してない」 (ページ15)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:771,004 hit

15 ページ15

『翔太、わたしと同じ大学だって分かってて他の女に手を出したの？』

「は？」

『今日、知らない女の子に言われた。翔太は他の女と関係持ってるって。』

「なんの話？知らねぇよ。」

タバコを灰皿に押し付け、翔太はわたしを横目で睨んだ。

これがきっと最後の警告だ。

でもわたしはバカだから、それを見ても動いてしまう口を止めようとなんてしなかった。

『……誤魔化すの？』

「誤魔化してねぇって」

『わたしは、翔太が、誰かとそういう関係になっても仕方無いとは、思った。』

「……」

『5年も一緒に居た。きっとお互いもう恋愛感情はないって、感じてた。』

「……は？」

『でもわたしには、翔太しか居なかったから、』

5年間わたしの側にずっと居てくれた翔太。

たった5年間。

だけどわたしには、かけがえのない5年間だった。

翔太はそれを分かってた。

だって翔太にとっても、わたしがそうであったと思ってたから。

『他の子にわたし達の事どう話したの？』

「……」

『どうして他の子が、あの事知ってたの？』

「どうって？俺はただ、アイツらに俺とAはどんだけ固い絆で結ばれてるかっていうのを言っただけだけど？」

『……なに、』

「それがいけねぇこと？別にいいじゃん。あんな奴ら居なくたって俺が居んだから。Aには俺だけ居ればいい。」

『……なに言って、』

「何で？そんなに嫌だったの？」

『……それ、は…』

「ほんとの事だろ？俺もAも。だから俺達一緒に居るんだから。」

『っ、嫌…！』

殴られる頬も。

引っ張られた髪も。

何かもう、どうでもいい。

ああ、まただ。

またあの感覚だ。

『っ、う…』

「俺アイツらとは別れるから。一緒に住も？」

『…っ…ぁ！』

「ずっと一緒だって約束したじゃん。な？」

お腹を殴られながら、犯されながら。

ぼんやりと、考える。

黒の、コート…

あの人に、返さなきゃいけない。

何でだろう、無性に会いたい。

あの優しい手のひらに、触れられたい…