Limit 32. ページ30
Aは翔の声に足を止めると、後ろを振り返って
彼の問いかけに答えるために口を開く。
『……まだ発明されていない空を飛ぶ技術は、私と、お兄さんの二人の夢だった。
お父さんとお母さんにも言っちゃったの。私はまだその夢を見続けて居たいって』
もう残り少ない期間、そんな技術を開発する事が間に合うかもわからない。
それでも、頑張り続けていつか辿り着いてみたいのだと。
……それが、父と母との──兄との、約束でもある。
『──そういう訳だから、邪魔なんてしたら後で酷いからね』
『め、飯くらい持ってくるのは良いんだろっ?』
偶然この会話の中で駆けつけていた颯太が、割り込むようにして
容赦なく言い放っていたAに声を投げかける。
すると彼女は少々驚いた様子で颯太と目を合わせ──
それから、小さく笑って頷きを返した。
『……そうだね、お願いする。昨日もありがとう』
言い残せば、彼女はすぐに資料室へと駆け戻って行く。
翔や凪斗や颯太は、呆然としたままそれを見送ってしまい
Aの姿が視界から消えた後、その部屋の扉が静かに閉められた。
『………………』
──もしかするともしかしなくても、翔達は良くも悪くも
とんでもない仲間を引き入れて来てしまったのではないだろうか。
三人共が声を失っている中、心の内で思った事は ほぼ一致していた。
『(好きなものに熱心になると脇目を振らなくなるのは似てるかもな。凛空さんに)』
ふと苦笑いをした颯太のこの思いは、翔や凪斗にもあったかどうかはわからないが。
〜・〜・〜
Aが彼らと共に生活を送る事を決意してから、数ヶ月が経った。
彼女が、兄が残した資料と共に研究に没頭している一方で
翔達はいつも通り、生活を送るための資金集め(主にアルバイトのような仕事)や
それと五分五分の割合で、自身の趣味に勤しんだりしていた。
──そうして居る中で、心中はずっと彼女の研究の結果が
早く出ないだろうかと今か今かと待ち望んでいたところ。
『…………わかった──、出来たっ!!』
資料室で、思わず椅子を倒す勢いで立ち上がってこの部屋を出る。
そして慌てて翔達の姿を探すと、彼らは一つのテーブルを囲み
気楽に雑談をしていたところだったようで、五人全員が出揃って居た。
翔、凪斗、白羽、俊也、颯太──確かにここで生活を始めてから
仲の良くなってきた者達が居るのを認めたAに、俊也が言う。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時