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Limit 34. ページ28

夕飯を持ってくるというのは、もちろん彼女自身のためでもあったが
一方では口実的な意味合いもあって、颯太は俊也から頼まれ事を受けていたのだ。

何でも、Aの事に関して気になる事があるらしく──それを俊也が
颯太に任せたのは、彼がこのように温厚で社交的な性格をしていたからだろう。



『……あのさ。一つだけ、聞きたい事があるんだけど……』

『…………?』



俊也からの頼まれごとを思い出して、
おずおずと切り出し始めた颯太を怪訝そうな顔つきで見るA。

言われた事には応えない様子だったが、
聞かれる事には答えない訳にはいかないと思ったのだろうか。

反応があった事にホッとした颯太は、次には慌てて先ほどの言葉を訂正した。



『あ、や、やっぱ二つ! まず、君の名前をまだ聞いてなかった』

『……A。お兄さんから聞いた事なかった?』

『ん、ああ……あの人からは、あんまり家族の話は聞かされた事がなかった』



普通より少し元気のない声は、彼女の気持ちが沈んでいることを示しているようだ。

そんな彼女から、悲しみの要因である筈の兄の話題が持ち出されたのは
颯太への嫌味だったのか否や。

対して、そのような事を考えない彼は苦笑いをして頷いて答えている。
──よく笑う人だ、とAは思うが、それに比例して笑顔の似合う人だとも思う。



『それと……凪斗って奴、覚えてるか?』

『……まあ……』



二つ目の問いを投げかけられ、街中で翔と共に出会った凪斗の姿を
脳裏に思い浮かばせたAは、気の無いような返事をした。

彼は初対面から少々失礼な少年だったから、印象にはよく残っている。



『君が、凪斗と前にも知り合ってた事とか、無かったかな?』

『──無い……筈。皆とは、これが初対面だから』



思わぬことを聞かれた事に、Aは少し戸惑った様子を見せた。
しかし、幼少期の頃までパッと記憶を辿ってもどこにも彼の姿は無いと答える。

凪斗と知り合っている翔達と初対面なのだから、
彼とも初対面である事に不思議はない筈だと。

何より彼は目を覆い隠しているから、顔つきに関しての印象はかなり薄かった。



『……うん、そうだよな。おかしな事を聞いて悪かった。許してくれ』

『…………』



へらりと笑って肩を竦めさせる颯太を見ながら、凪斗の話を出された
Aの脳裏に、今日の昼頃に交わした会話が過る。

あのリュックに仕舞い込んでいる自分の資料を、彼に見られてしまった後の会話だ。

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設定タグ:ファンタジー , Flysohigh!!   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時

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