Limit 44. ページ18
元々自転車を直してやるだけで済ませるつもりだったのが
一体どういう進展なのか、自らの名を明かすことになるとは。
『A、まだ時間あるか? どうしてもキミにあの資料を見てほしいんだよ!』
『……私じゃわからないかもよ』
尚も食い下がらずに訴えかけ続ける彼に、困り果てたAが返す。
恐らく相手は“それでも良いから!”と頼み込んで来るだろうが、
それでも彼女には彼らがわからないという資料を読み解く自信が無かった。
『──そうか。“わからない”か』
翔との問答に苦戦していると、ふと第三者の声がAの背後から飛び込む。
驚いたAは咄嗟に後ろを振り向き、翔は彼女越しに相手の姿を見やった。
二人に声を投げかけたのは、これもまた彼らと同じ歳くらいの少年。
何故か目元を黒い帯で覆っていて、それで辺りの景色が見えるのかと問いたくなる。
『……その資料は恐らく、空を飛行するために考えられた機械の設計図だ』
彼はこちらの話を聞いていたのか、
自転車を壊していた少年が言う“あの資料”の事を口にしながら
手にして眺めていた数枚の紙を見せびらかすようにしてAに向けた。
『もしそれがお前にわからないとしたら、お前の持っていたこの資料は飾りか?』
『…………!! 何をするの、返して!』
相手の手元にあった資料を凝視したAは、背中に背負っていた鞄が
気付かぬうちに開いていたことを確かめて、彼に向けて声を上げる。
これまで落ち着いた会話をしていた彼女らしからぬ言動で、
翔が半ば驚いている目の前で、資料を取り上げた彼がAにそれを返した。
『──勝手に鞄を開けて悪かったな。
その中から工具箱を出していたようだったから気になったんだ』
『気になったからって、無断で開けて良いものでもないでしょ……』
勝手に物をとられてしまっていたAは相当ご立腹の様子だ。
これは機嫌を損ねさせたのではないかと、
肩をすくめた翔が慣れ親しんだ様子で彼に問いかける。
『……お前、どこから見てたんだよ?』
『お前が自転車を直してもらって大喜びしていたところからだ』
──なるほど嫌味か。
僅かに口角を上げながら答えた彼に思わず苦笑いをしてしまう翔。
そんな両者の姿を、Aは警戒して様子を窺うように見つめていた。
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時