第40話 ページ41
。
所変わって酒場では
「遅いわね…」
「ゴミ出しだけだったよな?」
ゴミ出し以降帰ってこない音彩
あれから10分以上経つ……
まだ店は閉店じゃないので店内にはまだ客がいる
接客をしている中、ふと気づいたのだが
「あれ?あの子はもう上がり?」
「会いたかったな〜音彩ちゃん」
「上がりは上がりなのだけど……」
おかしいと思い、私は裏口に回り様子を見に行った
「え…?」
そこに音彩の姿はなかった
「音彩!?」
名前を呼ぶが応答は無い。それどころか…
「音彩!?どこに行ったの!??」
真面目なあの子が何も言わずに姿を消すなんて有り得ない
確かに船長さんと喧嘩をして後ろめたそうにはしてたけれど
会いたくないからって私たちに何も言わずに帰るなんて事は……
嫌な予感がした。急いで店内に戻り父に伝えた
「なんだって!?」
「どこにも姿が見当たらないのよ!…きっと何かあったんだわ…」
もしかしたら誘拐…?
良くない想像ばかりが脳内を覆い尽くした
「音彩はいるか?親父さん」
「!??」
そこへ現れたのは船長さんだった
2人の船員の方も
「船長さん!!大変なんです!!」
「…その様子だと何かあったんだな?」
「はい…音彩が……音彩がどこにも居ないんです……!!」
「!…」
場所は変わり、とある無人島
「…ん………」
ひんやりとした空気を肌に感じて目が覚める
手足は縛られて横たわされていた
「………ここは……」
視界に入るのは暗闇。月明かりがほんの少し入ってくる
洞窟っぽい
何があったんだっけ私…
自分に起きたことが理解出来ず、少し前の事を1つずつ思い出してみる
確かニコラさんにゴミ出しのお願いをされて裏口に出てそれで…
キールに会って＿＿
「あ。そうだった」
突然気持ち悪い視線感じて振り返ったらキールがいてそしたら首が痛くなって
「お目覚めかな?」
不意に声が聞こえ、そちらを見ると
岩場に腰掛けたキールが私の事を見下ろしていた
「…これ、どういうこと?」
「見たまんまさ。君を連れていこうかなと思って」
「どこに?」
「それは着いてからのお楽しみだ」
薄い笑みを浮かべながら話す様は何とも不気味で月の明かりで尚更気色悪さを感じた
そこへ
「ボス、その小娘は売らないんですかい?」
「高く売れると思うんだがなぁ俺ァ…」
「それとも俺たちの“慰めに”使うんですかい?」
ぞろぞろと彼の背後から大勢の男達が姿を表した
なに…こいつら。というかキールは何者…?
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