第36話 ページ37
。
自室に戻りベッドの上で丸くなった
もう本当に最悪
自分に苛立ちを覚える
何であんなこと言ったの私
本当バカじゃん
シャンクスを傷つけたかも。嫌な思いをさせた
(とことん自分が嫌になる)
謝らなきゃ。でもなんて言えば
分からない。仲直りの仕方、分からないよ…
場所は変わり
甲板に戻るとベックが出てきていた
「音彩が走りながら部屋に戻って行ったぞ。何かあったのか」
「ああ、ちょっとな……喧嘩をしちまったんだ」
「!…ほう?」
何を言ってやれば良かったか、と戻りながら考えていた
アイツは歌は“嫌いではない”と思っていたが。違ったのか?
「ケンカなぁ……の割に楽しそうだな」
「…ああ」
寧ろ楽しんでるかもな。音彩が初めて見せた激しい感情を見て嬉しいなんて思った
ああ。こいつはちゃんと怒れる奴なんだ、と
アイツは無意識かもしれないが。人の顔色ばかりを気にしている節がある
本人は笑って誤魔化したりしているが。俺達には誤魔化せない
(大分気は許されてると思ったが。これは…)
許されてるからこその素顔が見えた。と受け取っていいのかもな
「年頃の娘は繊細と聞くが。正にその通りだな」
自然と口角が上がり、笑っていた
「…その様だな」
タバコに火をつけながらベックも笑う
音彩のことだ。気にして部屋で塞ぎ込んでるだろうが…
侮ってくれるなよ?
お前が思ってるほど俺はそんな事で傷ついたりも嫌な思いもしたりはしない
寧ろ
(可愛げがあって良い、とさえ思うな)
翌日
「………………………」
きっと死んだ顔なのだろう。今の私
朝早くに船を出てもう酒場に来てしまっていた
気まずくてシャンクスの顔を見れなかった
っていうか悪いのは自分なのに。避けてどうするんだよって話
「はぁ…………………」
ため息しか零れない
もう本当に、深海の底に沈みたい。底に沈んで微生物に食べられて地球のために栄養になってしまえばいいんだ私なんて……いや地球も私みたいな奴はお断りか……
「あら?おはよう音彩……なんか頭にキノコ生えてない?」
「おはようございます…ニコラさん……」
「ごめん。見間違いだったみたい…でも今キノコ…」
ニコラさんは目を擦りながら私を二度見している
何か見えたのかな……疫病神とか……いやそれは私か…
「何があったかは後で話を聞いてあげるわ。とりあえず今は切り替えて仕事よ!」
「…はい………」
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