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「硝子さんに用あるんで。」なんて言って2人から逃げ出し、急いで硝子さんの元へ向かう。
昨晩実家から、フェロモンに充てられた側を反転術式で治してみたら治るかもしれない、という連絡が来た。もうこれに賭けるしかない。
「硝子さん!」
「休みなのに元気だな。」
「実家からフェロモンに充てられた側を反転術式で治せばって言われたんですけどできそうですか!?」
最後の、最後の望み。しかしそれは「無理。」という硝子さんの言葉によって消え散った。
私だって最初から期待してたわけじゃないし可能性があるかもってくらいだったし、なんて自分を宥めても希望が消え散ったことに納得がいかない。
「術式で出したフェロモンですよ……?」
「マイナスの力が込められてないからな、たぶん無理。」
「え、解決策ないってことですか?」
私がそう聞くと硝子さんは頷く。
解決策もないまま五条先生と虎杖くん、狗巻先輩、それとたぶん被害者4号の伏黒くんと一緒に学校生活を送れって?さすがにそれはきつくないかな。
はは、と乾いた笑みが出てしまう。
そんな私に硝子さんは追い打ちをかけるように「ついでにコレ伏黒に届けといて。」と言って伏黒くんが忘れたであろう制服の上着を手渡した。
わざわざ被害者の元に会いに行けと?なんて思ったけど反論する気持ちすら湧かず、被害者1号2号3号に会わないように注意しながら伏黒くんの部屋まで足を進めた。
「伏黒くん、いる?」
何回ノックしても部屋からの反応がない。
いないことに若干安心して制服をドアノブに賭けた瞬間、ドアが開いて中から伸びてきた手に引きずり込まれた。
急なことにびっくりして思考回路がごちゃごちゃになった私を誰かが抱き締める。ふわっと柔軟剤の良い香りが鼻を掠めた。
「な、伏黒……くん……?」
「……ちょっと黙ってろ。」
伏黒くんはそう言って私を思いきり抱き締める。筋張った身体が伝わってきて顔にどんどん熱が集まっていく。それに比例するようにフェロモンも流れ込んでいく。
すぐに離れないといけないのに伏黒くんの力が強くて抜け出せない。ジタバタと動いていると「好きだ。」なんて囁かれて頭の回転が停止した。
開いていた窓から入り込んだのか、伏黒くんはたぶん私のフェロモンの被害に遭ってる。
伏黒くんの部屋で、2人きりで。さすがにまずい状況だって判断して伏黒くんを思いきり突き飛ばしてから「気のせいだよ!」と言って部屋を飛び出した。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時