14:五条家宿泊 ページ30
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「虎杖……くん……?」
足元だけど虎杖くんの死体は見た。
五条先生も硝子さんも伊地知さんもあの死体は虎杖くんだって言ってた。
それなのに私の名前を呼びながら近づいてくるのは紛れもなく虎杖くんで、見開いた瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
「え!?何で泣いてんの!?」
「だ……って、死んじゃったって……」
宿儺の行動を止められなかった後悔も、虎杖くんが生きてるって驚きも、またこれから一緒に笑い合えるって嬉しさも、全部の感情がごちゃ混ぜになって涙に変わっていく。
虎杖くんはそんな私にあたふたしながら優しく抱き締めた。
普通だったらフェロモンが溢れちゃうから身体を離さないといけないのにそんなこと考えてられない。
虎杖くんを抱き締め返しながら「生きてて良かった。」、そう呟いた。
「心配かけてごめんな。」
「私の方こそ助けられなくてごめんね。」
「Aのせいじゃねぇって!」
前と同じような太陽みたいに眩しい笑顔で笑う虎杖くんに私も笑みが零れた。
そんな風に笑い合う虎杖くんと私の間に入ってきた五条先生から「そろそろ離れて〜。」と文句が飛んでくる。
それにしても死人が生き返るなんて初めて見た。
「そう言えばどうやって生き返ったの?」
「あ〜なんか宿儺が生き返らせてくれったぽくて。てか先生!俺の事話しちゃっていいの!?」
「いいのいいの。このままじゃAが危なそうだったし。」
私が傑くん側に付くのを防いだのか、それとも五条先生が私の後悔を少しでも晴らそうとしてくれたのかは分からないけど虎杖くんに会えたなら気にしなくていいや。
でもお礼は言っとこうと思って五条先生に「ありがとうございます。」と言うと五条先生は優しく微笑んだ。
特別授業ってこういう事だったんだ。
「伏黒くんと野薔薇ちゃんには……」
「恵達には交流会まで内緒だよ。僕と悠仁、それとAだけの秘密だからね。」
「早く伏黒達にも会いたいから交流会楽しみなんだよな〜。」
伏黒くんにも野薔薇ちゃんにも先輩達にも言えない秘密事。
騙してるみたいで心苦しいけど2人にも何か考えがあるだろうし交流会はもう少しすれば開催される。それまでの辛抱ってことか。
伏黒くんも野薔薇ちゃんもきっと喜んでくれるだろうなぁ、なんて想像しながら帰るために玄関に向かおうとする。と、その手を五条先生に捕まれた。
「今日は僕の家でお泊り会だよ〜!」
その言葉に「え?」と声が漏れた。
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年2月2日 19時