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11:故意の遭遇 ページ24







悠仁くんの死から1週間半くらい経って皆ようやく前を向き始めた。

パンダ先輩たちの訓練が厳しすぎてしょんぼりしてる暇が無いせいってのもあるけどある意味良い気分転換にはなった。

今日だってたまには外に出てろって真希さんから言われてちょっと買物しに来ちゃったし。

本当は伏黒くんとか野薔薇ちゃんと一緒に来た方が安全なんだけど2人の訓練の邪魔をするわけにもいかないし、人通りの少ない路地裏とかを歩けばフェロモンに充てられる人も減るし。

サッと路地裏に入って人通りの少ない路地を抜ける。が、そんな私の手が誰かに思い切り掴まれて再び路地裏へと引きずり込まれた。


「……っ!?」
「あぁ、ごめんごめん、驚かせてしまったね。」



後ろを振り返ってそこにいる人物と目が合った瞬間言葉を失った。

髪型こそ違えどそこにいたのは10年前に呪詛師として姿を消した傑くんで。でも傑くんは去年起きた新宿京都百鬼夜行で死んだって噂だったのに。

五条先生と傑くんが高専生の頃に知り合ってよく遊んでもらってたけど大人になっているせいか高専生の時よりも色気が増しててドキッとする。



「何でここに、」
「それよりもA、何か甘い物でも隠し持ってるのかい?」
「私何も持ってないよ。」
「でもほら、ここから甘い匂いが。」



そっと私の胸元に指を這わせながらそう言った傑くんは優しく微笑んだ。

非呪術師をこの世から消し去ろうとしている傑くんが何で敵対する呪術師の私に近付いてきたのかは分からない。でも、傑くんが考えなしに私に近付くって言うのもおかしい。

何か理由があるのか、それともただフェロモンに充てられてるのか……

傑くんの本心を見極めるためにじっと傑くんを凝視する。



「私の顔に何か付いてるかい?」
「何企んでるんだろうって思って。」
「知りたいかい?」



前は優しく感じていた笑顔も呪詛師として見るせいで胡散臭く感じてしまう。

疑いの眼差しを向ける私の唇をそっと優しくなぞった傑くんは「取引してくれるならいいよ。」と言った。

最近フェロモンのせいで色んな人から迫られてるせいか傑くんが何を求めているかが分かる。

ファーストキスは宿儺に奪われた。

好きな人とするのが1番って言うのは私でも分かる。分かるけど私のキス1つで傑くんの企みが分かるなら安い方だろう。

そう思い、少し背伸びをして前屈みになっている傑くんの唇に自分の唇を重ねた。

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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_  
作成日時:2021年2月2日 19時

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