【呪術廻戦/逆ハー】フェロモンが暴発した件について。 (ページ20)

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09:血染の口付ページ20

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私に触れようとした瞬間、宿儺の動きが固まった。

残り1㎝にも満たない距離のまま私達2人とも動かずに「え、」と声が漏れる。

触れてしまえば私にも勝算があるのに全然触れずに私を凝視する宿儺に、もしかしてフェロモンの存在がバレたのか、と心臓が震えあがる。が、宿儺の口から漏れた言葉は意外なものだった。

「愛いな。」
「……は？」

口元に手を当てながらそう言われて頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

確かに特級呪霊の為に出したフェロモンが部屋の中に充満している。でもまだ身体が触れ合ってないのに宿儺にこんな影響が出るのか？それとも私のフェロモンの存在に気付いてわざと充てられたふりをしている？

半信半疑のまま私を上から下まで見定めるように見てくる宿儺を見つめる。

どっちにしろ宿儺が私を殺さない今の状況は好機だ。

対呪霊用のフェロモンのコントロールは完璧。それに加えて人間の身体を借りている宿儺に最大限濃い対人間用のフェロモンが溢れ出しているのを利用すれば効果が倍増する可能性だってある。

私の方から宿儺に触れて直接フェロモンを流し込んで、惚れさせた瞬間悠仁くんに変わってもらうように頼めば何とかなるかもしれない。

そっと、宿儺に向けて手を伸ばす。

不審がられないように徐々にフェロモンを指先から出しながら宿儺の頬に触れた瞬間、最大出力でフェロモンを流し込む。勝った、そう思った瞬間、宿儺が私の腕を掴んだ。

「お前、何をした？」
「……ただ触っただけじゃん。」
「俺を何だと思っている。呪力に似た何かを身体に流し込んだことくらいすぐに分かるに決まってるだろう。」

今までフェロモンがバレることなんてなかったせいで宿儺の発言に息が止まる。

任務で話がしっかり通じる特級呪霊を手懐けた時でさえバレなかったのに明らかに力も経験も全てが今まで戦ってきた呪霊とかけ離れていて次の案が出てこない。

持ってきた呪具は壊れてるしフェロモンの存在もバレてる。

これ以上何をしても無駄なんじゃないかって、そんな諦めの気持ちが沸々と湧いてくる。

ガッと勢いよく首元を片手で掴まれて、呪いの王を甘く見すぎてたななんて思いながら死を覚悟して目を瞑る。が、首を絞められることはなく、私の唇に何かが触れた。

パッと目を開けるとそこには宿儺の顔があって、自分の唇と宿儺の唇が重なっていて血の味が滲む。

ファーストキスがレモンの味なんて大嘘じゃん。ちょっと信じてたのに。