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ラウール「…」
ふと、幼少期の事を思い出した。
ラウールは志願してS隊に来た訳ではなく、深澤に拾われた身であった。
元々、今はα国に併合された小さな国の第4王子であったラウールは、「第4」という王位継承権が低い立場であったが故に幼い頃から誰にも相手されなかった。
召使も兄たちも両親でさえも、義務的な事しか話す事がなく、
それこそ風邪をひいた時でさえも召使が事務的に料理と薬を出してくれるだけで、誰も心配の声などをかけてくれる事はなかった。

自分が生きている意味がわからなくなった。
ただ、死ぬ勇気もなかった。
だからα国に自国が攻められ、降伏宣言をした時、ラウールは心底安心したのだ。
──これで、もうこんな人生から解放される。
地下牢に閉じ込められ、いずれ訪れる生からの解放を待ち続けていたある日、紫の瞳、という変わった目を持った軍人がやってきた。

「…君さ、うちの隊に入ってみたり、しない?」
軍人の割には酷く優しい口調で話し掛けてきたその男の質問に、ラウールは疑問符を浮かべざるを得なかった。
ラウール「…殺すんじゃ、ないんですか」
「もし今のに嫌だっていうなら、そうなるみたい」
ラウール「だったら、早く終わらせてください…」
そう小さく請うた彼に、軍人は少し困ったように笑って言った。

「…あのさ、俺は…その、君が今までどんな扱い受けてたかってのは、書類上でしか知らないからあれだけど」
そう言って笑った彼は、軍人とは思えない程だった。
今見ても、やはり彼が軍人だと理解するには少し時間がかかる。
「生きる理由はないかもしれないけど、死ぬ理由もないんじゃないかな?」

その軍人に連れられ入った隊は、驚く程に親切な隊だった。
何よりその紫の瞳をした人が「総監督」だって事に驚いた。
来た日早々に歓迎パーティーなるものが始まり、銃や剣の使い方等も丁寧に教えてくれ、風邪をひいた時にはかわりばんこに看病され、
たまに怒られる事もあったが、「今まで何もされなかった」彼からすればその全てが嬉しかったのだ。

「S隊」は、ラウールにとって「生きる理由」をくれた場所なのだ。


そんな昔の事を考えている間に、野菜が柔らかくなってきていた。
コンソメスープの素を入れ、塩と胡椒を味見をしながら目分量で投入する。
ご飯が炊ける音がした。ワゴンに大きな鍋と人数分の食器と調味料と炊飯器を乗せたところで、S隊SNSに写真をあげる。

『今からご飯持っていくね!』

*→←07:白銀は皆の為に改定を繰り返す



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(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございます!とても楽しく読ませていただきました!これからも頑張って下さい! (2月13日 11時) (レス) id: 25ea824704 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんたぬお(;´_ゝ`)(プロフ) - 本当に好きな作品で夜寝る前の日課になっています笑 差し支えなければリクエストの方をさせて頂きたいのですが、緑さんの力が暴走して、兄のことは覚えているのに自分がS隊であること、そしてS隊の皆のことを一時的に忘れてしまう、みたいなお話が見てみたいです…! (2月12日 22時) (レス) id: e589be5cc6 (このIDを非表示/違反報告)
はら(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いています!リクエストさせて頂きたいのですが、康二が弱ってたりピンチな所を助けるようなお話が読みたいです。目黒が特に康二に優しかったり必死だったらとても嬉しいです、、、。宜しくお願い致します。 (2月12日 22時) (レス) id: 4b0a14856e (このIDを非表示/違反報告)
いちごみかん。(プロフ) - はじめまして!リクエスト失礼します!今回の涼太くんの話見てて、流行り病の時のゆり組の話がみたくなりました!笑お願いします!これからもがんばってください! (2月11日 22時) (レス) id: bb0523e0f7 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - はじめまして!すごくおもしろいです!一気に読んでしまいました!これからも頑張ってください! (2月11日 21時) (レス) id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:湊都 | 作成日時:2020年2月5日 22時

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