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「ああ、それだ。あんたはいつもそうだった。俺が力になりたいって頑張っても、いつもそうやって困ったように笑うんだ。」
岩本「…すまない」
こんなやり取りは初めてした。なのに、もう何度もこんなことをしていたような気がする。
そうして彼は、また苦し気に、悔し気に奥歯を噛み締める。
そんなことを言わせたいわけじゃなかった、と呟きながら。
「ねえ、先輩。お願いします。最後くらいは、手加減しないでください。ちゃんと、俺にとどめを差してください」
彼はやはり真っ直ぐに俺を見て願うようにそう言った。
それでようやく、俺はこいつにちゃんと向き合っていなかったと気付いた。
俺はどうしようもない先輩だったな。
内心で呟きながら彼に向けて剣を構える。
そうして一つ息を吸い込み、それを吐き出すのも待たずに彼に突き立てた。
肉を貫く生々しい感覚が剣を通して俺に伝わる。
この剣を引き抜けば、このかつて自分を慕った素直な部下の命は間違いなく消えるだろう。
「…やっぱり、あなたは…っ、優しいですね、先輩…」
やはり俺にはこいつが分からない。今まさに殺されようとしている相手に優しいなんて言えるものなのだろうか。
「だっ、て…い、まが一番…痛そうな顔…して、ますよ…はは、いたい、なぁ、もう…仕方がな、いです…ねぇ」
そう言って彼は最後の力を振り絞ったのだろう。
俺を突き飛ばすように押し出し、そしてその力は彼に刺さっていた剣を傷口から引き抜いた。
一拍遅れてどさりと彼が倒れる音とびちゃびちゃと剣によって堰き止められていた血が流れだす音がやけに大きく耳に響いた。
「――――」
彼は息を引き取る直前、一言小さく呟いた。
俺の聞き間違いでなければ、ありがとうございました、と言った。
……ああ、後味が悪い。
俺は残党の確認もせずただ近くの壁にもたれてずるずると座り込んだ。
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みさこ(プロフ) - ダテ様の「ラウールは預かったメール来た」のセリフ好きです (2020年11月14日 5時) (
レス) id: 96340430ed (このIDを非表示/違反報告)
翔(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございます！とても楽しく読ませていただきました！これからも頑張って下さい！ (2020年2月13日 11時) (レス) id: 25ea824704 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんたぬお(；´_ゝ`)(プロフ) - 本当に好きな作品で夜寝る前の日課になっています笑 差し支えなければリクエストの方をさせて頂きたいのですが、緑さんの力が暴走して、兄のことは覚えているのに自分がS隊であること、そしてS隊の皆のことを一時的に忘れてしまう、みたいなお話が見てみたいです…！ (2020年2月12日 22時) (レス) id: e589be5cc6 (このIDを非表示/違反報告)
はら(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いています！リクエストさせて頂きたいのですが、康二が弱ってたりピンチな所を助けるようなお話が読みたいです。目黒が特に康二に優しかったり必死だったらとても嬉しいです、、、。宜しくお願い致します。 (2020年2月12日 22時) (レス) id: 4b0a14856e (このIDを非表示/違反報告)
いちごみかん。(プロフ) - はじめまして！リクエスト失礼します！今回の涼太くんの話見てて、流行り病の時のゆり組の話がみたくなりました！笑お願いします！これからもがんばってください！ (2020年2月11日 22時) (レス) id: bb0523e0f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湊都 | 作成日時：2020年2月5日 22時
