Freiheit IV (ページ32)

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敵は、多からず少なからず、まあこちらの予想通りくらいの人数だった。
出来るだけ時間をかけず、迅速に。
敵を視認した瞬間に照準を合わせ、2秒後には引き金を引く。それを繰り返していた。
これはまた、基地内の修繕費がかさみそうだなと内心思いながら。
向井が来るまでの間の時間稼ぎを行う。

大丈夫、1時間もないこの時間だ。
宮舘(それに康二なら──っ！？)
不意に右足に力が入らなくなり、片膝を着く方になる。
よく見ると、右足から血がダラダラと流れていた。
宮舘(しまった、撃たれ──)
一瞬の隙を敵に見せてしまったが故に、数ヶ所被弾したのだろう。肩や腹部に何かが当たる感触と共に、じわりとする熱の感触があった。

宮舘｢…あぁ、くそ、｣
ネックレスを外し、相手の布陣に集中を込める。
宮舘(…死に晒せ)
多大な集中力と引き換えに、その場を何とか凌いだものの、宮舘はその場で荒い息を吐く。
いくら痛みを感じないとはいえど、身体は悲鳴をあげる。
明らかに熱を帯びている箇所と、息苦しさと、力の入らない右足で、大体は察した。

壁と左足で何とか立ち上がり、壁を伝うように進む。
複数人の足音がする。あぁ、接敵が早いなぁ…。
敵の電子回路を操作して、されど銃撃の方も止める事はなく──まだまともな状態であれば敵の電子回路を弄って操る事も可能だったのだが──生憎それをする集中力は残っていない。
接敵する時間が長くなる、故に音を聞き付けて次の敵が駆け付けてくる。
何たる悪循環だろうか。

刹那、天井上から、｢小さな何か｣が落ちてきた。
瞬間辺りが白い煙に包まれる。…スモークグレネード？
遠くから聞こえる悲鳴と動揺の声に｢まさか｣と声が出る。

向井｢お待たせダテ！ってめっちゃ怪我してるやん！｣
薄ら煙の晴れてきた視界の前、さながら舞台上からこちらに問いかける｢役者｣のように、待ち望んでいた彼の姿はあった。