Freiheit ��

＊ ページ39

いつの間にか｢影の始末屋｣なんて呼ばれるようになっていた。
黒いフードとマスクで顔を隠して、もう自分にはこれしか生きる道が残っていなかったから。
生きる為に、生を奪った。

彼は国を転々として、最近はα国で生計を立てていた。
…あぁ、また退屈だ。
軍勤めの時よりかは随分マシだけど、それでも影のようにいないものとして、死人のように生きる毎日に、飽き飽きしていた。

山岳地帯の方で、ある日彼は誰かが戦っているのを見た。
軍の人が、Φ国の軍人と戦っている姿が見えた。
｢…ん？｣
何度も銃弾を受けたり、斬られたりしているのに全く血の流れていない軍人を見つけた。
珍しい、紫色の目の男の人。α国の軍人みたいだ。

｢…面白そう｣
どうせだったら、助けてやろう。
マスクの下で笑みを浮かべ、戦場へと飛び降りる。
混乱するΦ国の兵士を見てマスクの下で嘲笑う。
呆気に取られてるα国の軍人を差し置いて、彼はどんどんΦ国の連中を刺していく。

｢…あ｣
ふと、かつての上司が目に入った。
｢みんなそうしてきた！｣が口癖の面白くない奴だった。
恐怖で歪む顔を見て、彼はマスクを下ろした。
｢貴様…！｣
｢ばーか｣
普遍的などこにでも居そうな男には相応しくない最期だね、と悪態をついた。

｢…｣
阿部｢…で、その子何？｣
深澤｢わかんない。何か着いてきた。でもΦ国の1部隊潰してくれたんだよ｣
阿部｢何それカルガモ？｣
岩本｢それで何でわざわざここに入れるんだよ馬鹿かお前｣
面白そうだと思った紫目の軍人に着いていき(男は別に止める事無く入れてくれた)、そのまま会議室らしきとこに着いていく。

ホワイトボードに書かれている文字に目がいく。
｢呪い｣と書かれたものに、斜線の引かれた7つの項目と何も引かれていない2つの項目。
｢…これ、ここに入ったら呪われるって事？｣
『自由自在に影に溶け込む』なんて、今までの自分と同じじゃないか。
深澤｢…ねえ照｣
岩本｢お前はいつも色々拾ってきやがって…｣

影のようにふらり、と入ってきた彼は、いつの間にかここに溶け込んでいた。
向井｢そういえば、めめって俺より後に入ってきた…やんな？｣
渡辺｢あれ、こいついつからいたっけ｣
深澤｢何か着いてきたんだよ｣
ラウール｢入団試験は？｣
目黒｢してない｣
ラウール｢えっしてないの？｣
深澤｢Φ国の少数部隊とエンカウントした時に見たのでいっかなって｣
目黒｢…あー、Φ国？そんなのもあったよね｣
なんて会議室で悠長に笑うのだった。

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