5つ目 ページ7
その日の夜、珍しく母から電話があった
「もしもしお母さん?」
いつもの調子で出ると、明るい母の声が聞こえる
「A?
も〜、あんた最近メール見てないでしょう?
全然連絡ないから心配しちゃったじゃない!」
「メール…?
あっ、ごめん!」
まだ1人前になれていない私は、それこそ余裕そうな暮らしぶりなものの覚えることは山積みで
ほとんどスマホかパソコンと睨めっこしている
だから電話のような長く続くものはなるべく避け、母や父とは、ほとんどメールを使っていた
「まったく、次から気をつけてね」
「うん、ごめんね」
いくつになっても、私は母の子供なのだろう
返信が遅くなると、度々こうして電話が来る
しばらく他愛もない近状報告をしている時、母が思い出したように声を漏らした
「どうかしたの?」
「そうそう!
A覚えてる?昔遊んでもらったお兄ちゃんのこと!」
母が口にしたのは、私がずっと気になって仕方なかったお隣のお兄ちゃんのこと
あぁ、最初から母に聞けばよかったのか!!
「う、うーん
実はあんまり覚えてないんだよね、思い出したのもつい最近で…
その人がどうしたの?」
ここで食いついたら子供みたいだよな、なんて思いながら平然を装った
これが私に出来る精一杯のこと
「この間ね〜、久しぶりにあったのよ〜」
なんて言うから、お兄ちゃん本人に会ったのかと思えば
「あのお兄ちゃんのお母さんに!」
なんて、流石お母さん、焦らし方が上手い
「へ、へぇ
元気にした??」
私のその返しを合図にしたかのように始まる母の1人喋り
こうなると私は相槌をうって適当に流すのだが
今日ばかりはそんな訳にはいかない
どうやらお兄ちゃんのお母さんと随分長話をしたらしい
そして、また近くに住んでいることが判明した
「今度遊びにおいでって約束したんだけど、お菓子何用意したらいいかしらねぇ〜
向こうのお兄ちゃん、今はもう30歳だって
甘いものは嫌いかしら」
これは神様が与えてくれたご褒美なのか
私はこの話に乗っかるしかなかった
「わっ…私がお菓子!!
か、買って…行こうか…?」
あのお兄ちゃんに会える、誰だかしっかり確認できる
そう思ったら興奮してしまい、言葉がひっかかり気味になってしまった
それを聞いた母は
「何焦ってるのよ」
と言って、くすくすと笑い飛ばす
「まぁ、Aだったら歳も近いし
私よりも美味しいお菓子知ってそうだからお願いしようかしら」
そう言われた私は母から人数などを聞いてすぐに電話を切り
近くの美味しいお菓子のお店を調べた
9人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
香雪蘭(プロフ) - れおんさん» ありがとうございます!!凄く嬉しいです!(´;ω;`) (2019年2月13日 12時) (レス) id: b9e2afb4a7 (このIDを非表示/違反報告)
れおん - すごい好きです!更新がすごい楽しみです! (2019年2月13日 7時) (レス) id: 6a02a5c532 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:香雪蘭 | 作成日時:2019年2月13日 1時