穏やかな / 写真家 ページ1
「やぁA」
「あ、ジョゼフさん。こんにちは」
中庭にあるベンチに座って読書をしていたら、声を掛けられた。
本の世界に入り込んでいた私はビックリして肩を揺らしてしまって。くすくすと笑うジョゼフさんに不満げな目を向けた。
「ごめんごめん、Aがあまりにも可愛らしくって。その本は？」
「…、第一棟にある図書室から借りたんだよ。故郷の文字で書かれててね、懐かしくなるの」
「……帰りたいかい？」
「え？いや、別に懐かしいだけで帰りたいとは思わないけど」
帰っても居場所はないから。優しいジョゼフさんは心を痛めてしまうだろうからその言葉は飲み込んだ。
突然この荘園で行われているゲームの最中に目覚め、サバイバーとして生活する事となった私は故郷を懐かしく思う事はある。ほら、ホームシックみたいな。
あっけらかんとして返答した私を見て、少し顔を綻ばせるジョゼフさん。綺麗だなぁ。
「よかった、もし帰りたいと言われたらどうしようかと思ったよ。パスポートに飛行機代に、ああ、荘園の主人にも許可を貰わないとね」
「付いてくる前提なの？」
「うん？勿論、最愛の人が手の届かない場所に居るのは嫌だからね」
「さ、さいあい……」
こういうのをサラッと言うから恐ろしい。
熱くなる耳に、ゲーム外だというのにうるさい心音。落ち着かせる為に深呼吸をして顔を手で覆った。
「いつまでも可愛い反応をしてくれるよねぇ、こちらにも口説き甲斐があるってものさ」
「ちょ、っと、黙ってっ」
「ふふ、そんな風に睨んでも可愛いだけだよ？」
「黙ってってばぁ…！
「はいはい」
彼の可愛いの基準が謎だ。理解できない。
鼻歌でも歌い出しそうなくらい機嫌が良いジョゼフさん。
……ああ、彼の美味しい紅茶が飲みたいな。
「お茶、したい」
「ふむ、では紅茶を淹れてくるよ。そこのテーブルに移動して待っててくれるかい？」
「一緒に行く」
「……そうかい。じゃあ、お手をどうぞレディ」
「キザだなぁ」
「おや、これは照れないのか」
「ただのエスコート、なんでしょ？」
「そうだけどさ。そろそろバリエーションを増やさなければいけないね。ジャックにでも聞いておこう」
是非とも止めて頂きたい。
そんな感じで今日も穏やかに時間が過ぎていった。
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める@黒執事(プロフ) - リパ様えちえちだ…。鼻血が止まらん… (2019年11月18日 23時) (
レス) id: 62ac38a52f (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - りんご?さん» 閲覧、コメントありがとうございます。マリー様良いですよね〜！下僕になりたい欲望をぶつけて書きました(´ω`*)気に入ってくださったようでなによりです！ (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
Lonely(プロフ) - 玲さん» 閲覧、コメント、リクエストありがとうございます。楽しんでいただけているのなら書いている甲斐がありました！悲しさを表現できるかどうか分かりませんが、最善を尽くさせていただきます…！想像と違うものが出来上がっても何卒ご容赦を……!(′･ω･`*) (2019年10月5日 23時) (レス) id: b9652ac74b (このIDを非表示/違反報告)
りんご?(プロフ) - 血の女王好きなので小説で書かれていて何度も読んでしまいました！！笑笑 (2019年10月3日 1時) (レス) id: a099461a17 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！リクエスト？があるのですが「脳に刻む&骨に刻む」の失恋バージョンを読んでみたいです。主人公ちゃんとイライが交際していることを知ったナワーブ君が見てみたい！(←ただの変態でごめんさい！ (2019年9月24日 20時) (レス) id: 750579a695 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊歩 x他1人 | 作成日時：2019年1月5日 10時
