兄達はスーパードクターズ2 (ページ1)

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肺気胸(雅)1 ページ1

和サイド

「あ、雅！
雅も今、帰り？」

雅「あ、和兄。うん、今帰るとこ」

閉まりかけのドアにギリギリ間に合って、電車に飛び乗った俺は
奥の窓際に座って、ややうつむき加減な雅に声をかけた。

なんだかちょっと疲れてそうだな。
最近、外来、病棟、オペそれに緊急オペが続いているみたいだ。
まあ外科医としてやっていくには、これからの5年、10年が勝負で
知識を身につけ、それに伴いオペ技術も向上させていかなくちゃいけない。

なかなか最近の若いドクターは外科を専攻しない。
一人前になるまでかなり時間を要するし、仕事内容も激務だ。
時を選ばず緊急オペが入るとこなんて日常茶飯事で。

でも雅は国家試験に合格したときからずっと外科を目指していた。
兄弟で誰も外科系を選ばなかったというのもあるだろう。
翔兄は救急だから時として切ったり縫ったりすることがあっても
基本、危険な状態の患者さんを安定させるのが仕事。
その後に適切な科のドクターたちに引き継いでいく。

雅はやっぱり医者になったんだから、
花形である外科医になる！とずっと走り続けたきた。
確かに医大生の憧れである外科医、でも現状を知るとほとんどの者が
内科系やマイナー科と呼ばれる皮膚科や耳鼻科を選ぶ。

次の駅で、雅の隣に座っていた男性が下車したので
そこに腰を下ろす。

「最近、忙しそうだねー。やっぱり外科は大変でしょう？
ちゃんと栄養のあるもの食べて休憩も取れるときには取ってる？」

雅「先週とね、今週は、もう記憶がね、ないくらい、忙しかった。
何を、やったか、覚えてないんだけど、とにかくオペ室、患者さんの入院部屋に
何度も、走って、かけつけたことだけは、覚えてる。ケホ、ケホ」

話し方がなんだか途切れ途切れだな。
空咳もしてるな。風邪でもひいたかな。

「風邪引いた？」

雅「え？いやーそんなことないと思うけど。
なんで？疲れてそうに見える？」

「誰が見ても疲れてるように見えるよ。今の雅は。」

その後、隣でうとうとし出したので最寄駅までそっとしておいた。