宝物×宝物＝ part４

引っ越し ページ9

あれから色々と準備を済ませて、ついに引っ越し当日。



大学に入ってから、ずっとお世話になったこの部屋とも、今日でお別れだ。


まだ家具は運び出していないため、この部屋で使う最後の家具を堪能した。



ソファ、ベッド、机、椅子、棚。


それぞれの思い出を浮かべながら、触れていく。




一通り巡り終わったあと、ちょうど業者さんが来て、引っ越しが始まった。



そして、メンバーも手伝ってくれると言う。


しかも、筋肉が二人いる状態で。



本当にありがたかった。




さっきまで触れていた、ソファ、ベッドなどが次々と運ばれていく。


その先を見れば、それらはトラックの荷台に吸い込まれていく。



なんだか寂しいような、嬉しいような、複雑な気持ちになった。



シルク「なーに突っ立ってんだよwお前の家だろおー？」



シルクが私の肩に手を置いたので、ボーッとしていた私は、はっと我に返った。



「いやあ、なんかしみじみとしちゃって」


シルク「まあ、ずっと住んでたもんな」



はにかみながら言うと、シルクは同意してくれる。


しばらく私と一緒に部屋を眺め回し、「なるべく早く戻ってこいよー」と残してシルクは行ってしまった。



私も腕を捲り、気合いを入れる。



今までお世話になった部屋に、せめてもの恩返しだ。


軽いものを速く、たくさん運んでいった。



重いものは、皆と協力してやった。




業者「それじゃあ、お届けしますね」


「よろしくお願いします」



ぶうん、とエンジン音を鳴らして、トラックは去って行った。



私は、手伝ってくれた皆にお礼を言い、先に帰っていて良いと伝えた。



一人になり、もう一度部屋に向かった。


まだ鍵はかかっていないので、中に入る事ができる。






何もなくなった部屋を見回して、一言。







「今まで、ありがとうございました！」

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