宝物×宝物＝ part２ (ページ8)

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優side　離さなければ良かったページ8

そして、幸せな時間は終わりを迎えた。

優「はい、着いたよ。起きて。」

「んっ…」

歩く度に起こる振動と、お酒の酔いで寝てしまっていたらしい。

だいぶ意識がしっかりしてきたところで、優しく地面に下ろしてやる。

「ありがとね」

優「いや、全然。軽かったしw」

ここで俺の心の悪魔がでしゃばる。

――――――まだ、一緒にいたい。

――――――こんぺいを、シルクとかいうやつの元に返したくない。

「それじゃあ、またね」

『またね』

次があるだけでも充分幸せなはずなのに。

優「こんぺい待って」

「なに……っ…優さん…？」

玄関の鍵を開け、もう行ってしまいそうだった彼女を呼び止め、俺はその小さな身体を抱き締めた。

「いきなり…どうしたの…？」

当然、こんぺいは困惑している。

俺だって別に、言い訳も何も考えないでこういう行動に出たわけじゃない。

優「あはは、ごめんね？wさっき●●出たばっかりの時、寒いねって言ってたから。」

「あーそういうことw…確かに言ったかもなあw…ありがと。」

胸の辺りから聞こえてくる、俺のいちばん好きな声。

YouTuberなんかより、絶対俺の方が良いのに。

なんで君は、そっち側から出てきてくれないんだよ

「じゃあ、そろそろ帰るね」

優「あ、うん」

離してしまうのが惜しくて、１分１秒、0.01秒でも長く一緒に居たくて。

俺は名残惜しく、儚いその身体を手離した。

「ばいばい。」

顔の横で小さく手を振る姿は、俺の目には、少しばかりもったいなさ過ぎたかもしれない。

優「うん。バイバイ。」

――――――俺がこの時、無理矢理にでも引き留めていたら。

――――――俺がこの時、家に上がっていれば。

幸せを掴んだのは、俺だったかもしれないのに。