宝物×宝物＝ part２ (ページ45)

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消えたページ45

優さんが消えた。

事務所の人も連絡が取れなくて、私が何度電話をかけても女性のアナウンスが流れるだけだ。

「なんで？どうしよう…？」

シルクに問いかけても、俺もわからねぇ、と答えるだけだ。

そうだよね、わかってはいるんだけど…

一体なんで？

音楽事務所をクエスチョンマークで埋め尽くしていると、レイちゃんがドタバタと駆け込んできた。

天「こんぺいっ…これっ…！」

渡された物を見ると、それは白くて色に厚みのある一枚の封筒だった。

のりはついておらず、ぱらりと封を開ける。

中に入っていたのは、これまた白い便箋だった。

しかも、たった一枚だけ。

『こんぺいへ

こんな形でお別れになってしまって、ごめんなさい。

本当は直接渡そうかと思っていたんだけど、飛行機の時間があって。

初めに言っておきます。

俺はずっと、貴方のことが好きでした。

こんぺいがシルクさんの事を好きなのは知ってる。

でも、ずっと、好きだった。

俺は、俺の事を誰も知らないような国へ行きます。

大丈夫だよ。英語は喋れるから。

それでは、末永くお幸せに。

武田優』

率直に持った感想は、え？これだけ？だった。

だって、優さんのことを誰も知らないような国って…

一生会えないかも知れないのに、これだけ？

「英語は喋れるからじゃないっ…大丈夫じゃないでしょ…」

シルクが、背中をさすってくれる。

なんで最後に、好きでしたなんて、そんな言葉残していくの？

直接言って欲しかったよ

シルク「…あの人には、あの人なりの考えがあったんだろ。お前はそれを応援してやんなきゃ」

「っうん、」

慰め上手なシルクに優しく触れられながら、私は静かに涙を流した。

「私、泣いてばっかりだね」

シルク「泣き虫だもんな」

「違うよぉ…」

笑顔を作ってみたが、きっとひきつっているに違いない。

シルク「俺の前では、強がんなくていいからな」

あの時逆だった立場は今、正しいものに変わっている。

シルク「…この前言われたから、お返し」

「…ありがと、」

頑張ってね、優さん、

私も頑張るから。