76話:開けてはいけない部屋 ページ30
「ま、待ってください！」
「……川西君」
バッと両腕を広げ、川西君は震える体で私を守ろうと立ちはだかる。
「聞いてください、先輩。Aさんにいじめられたわけじゃありません。話をただ聞いてもらっていただけです」
「……そうなの？」
疑わしげに聞いてくる伊作さんに、私はブンブンと首を縦に振った。
「ストレスが溜まっていたみたいだったから、発散できたらなって思って。断じてそんな、川西君をどうこうしようと思ったわけではありません」
心外な、と頬を膨らますと、毒気を抜かれたように伊作さんは溜息を吐いた。
「はぁ……。疑った僕が馬鹿だったよ。左近、どこも怪我してないね？」
「は、はいっ」
ならば良し、と頷く伊作さんの目は、後輩を気遣う優しいものに変わっている。
……もう大丈夫そう、かな。
私は立ち上がると、パンパンと袴に付いた埃を払い落とした。
まだ少しお尻がヒリヒリするけれど、敢えて言ってやることもないだろう。
「あ、Aちゃん」
感動的な仲直りの瞬間を邪魔しないようにそーっと立ち去ろうとした私を、伊作さんが全く空気を読まずに呼び止める。
「……何ですか？」
今じゃないだろう、という私の心の叫びは聞かれるはずもなく、伊作さんはぽりぽりと頬を掻きながら苦笑いを浮かべる。
「Aちゃんさ、さっきここを通る時、Aちゃんの部屋の戸開けた？」
「え？ 開けたの私じゃないですよ？」
元々開いていました、と言うと、伊作さんは不可解そうに首を傾げた。
「あの部屋が今朝に封鎖されたことは二人共知ってるね？」
何の話だ、と思いつつ、私は川西君と顔を見合わせて頷く。
「その封鎖っていうのは、戸を開けるのも禁止、近づくのも基本避けること……っていう指示っていうのは知ってる？」
……知りませんでした。
ブンブンと首を横に振る私達に、伊作さんは眉尻を下げる。
「誰が戸を開けたのかはまだわからないけど、危ないからできるだけあの部屋には近づかないこと。左近も、遠回りになるけど庭を通って医務室に行ってね」
「わかりました」
思ったより大事になっているらしい。
私は神妙な顔をして大きく頷いた。
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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (
レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね！ (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました！ (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年4月28日 21時
