70話:考えて ページ24
ぱちり、と善法寺さんと目が合う。
寂しそうな顔。
でも、何かを諦めているような顔。
この学園に来てから、そんな顔を見てばかりだ。
「……この学園の上級生は以前天女様が来た時に、後輩の皆さんを傷つけるようなことをなさった、んでしたっけ」
驚いたように目を見開く。
怒ったり、逆上したりするかと思ったのに、彼はただ、しおらしくなって下を向いた。
気に食わない。
「貴方も、同じように後輩を傷つけた。何度も何度も、天女サマが新たに来る度に、裏切って、傷つけて、謝って。そりゃあ後輩さん達だって、貴方と話したくないと思うでしょうね」
善法寺さんが黙っているのをいいことに、私は遠慮のない言葉を吐き続ける。
気に食わない。気に食わない。
言いたいことがあるのなら、言えばいいのに。
この人も、五年生のあの三人も、仙蔵さんも、全てを諦めましたみたいな顔をしてばかり。
「貴方はそれでいいと思っているの？」
部外者の私に良いように言われて。
後輩とも話せなくて。
私の問いに、善法寺さんは畳の上に置いた拳を固く握るだけで返事をしない。
「……そうですか」
諦めてしまったのか、この人は。
ならきっと、仕方がない。
私は一度そっと目を伏せると、静かに立ち上がった。
「これ、事務室からの資料です。二枚目の紙に必要事項を記入した上で来週末までに提出してください」
では、と踵を返し、私は障子に手をかける。
「ま、待って」
振り返ると、善法寺さんが顔を上げてこちらに手を伸ばしていた。
「僕は、どうしたらいいんだろう」
……それくらい、自分で考えたらどうですか。
そう言って、突き放すのは簡単だった。
でも、あまりに寂しい目でこちらに縋るものだから。
「謝って許してもらおうとするのは、傷つけた側の身勝手な思いだという意見もあります」
善法寺さんの顔が曇る。
違う。そうじゃない。
そういうことじゃないんだ。
「でも、私は。たくさん悩んで、苦しんで、考えて、考えた末に、それでも彼らともう一度話したいと思うのなら、謝ってもいいのだと思います。
だから、まずは考えてみてください。これからどうしたいのか。どう、するべきなのか」
「考える……」
しばらく言葉を舌の上で転がすようにぶつぶつと呟いていた善法寺さんが、吹っ切れたような顔で大きく頷いた。
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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (
レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね！ (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました！ (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年4月28日 21時
