【忍たま】本が読みたい私のそれどころではない室町生活2

69話:ゲシュタルト ページ23

「保健委員は不運だからよく穴に落ちるんだ。さっき保健委員って言ったのはそれで。気をつけてはいるんだけどね」

「……え？ ふうん、って何ですか？」



保健委員が不運だと？ ちょっと意味がわからない。


咄嗟には言葉が理解できなくて、私は眉間にムムッと皺を寄せる。



「不運っていうのは運が悪いということで──」

「不運という言葉の意味を聞いたんじゃありません。保健委員が不運ってどういうことかを聞いたんです。委員全員が揃って不運なんですか？」



言葉通りの意味で受け取った善法寺さんに思わずツッコミを入れた。
私だってそれくらいはわかる。


流石にそれはないだろう、と聞いたのに、何故か力強く肯定された。

これは確実に自棄になっていると思う。



「うん！ 保健委員に入る前はごく普通の忍たまでも、保健委員になるともれなく皆不運になるんだ。……天女様が来る前は、それが原因で乱太郎達が保健委員を辞めたいって言い出したこともあったなぁ」



まぁ今は僕と話してくれること自体がなくなったから、そんな風に言われるのもなくなったんだけどね。



自嘲気味に笑った善法寺さんが、小さな声でぼそりと呟く。


不運という言葉が何度も使われすぎてそろそろ不運がゲシュタルト崩壊しそうだな、と呑気に考えていた私は、そこでやっと左手の包帯から視線を上げた。

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