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68話:落とし穴作るマン ページ22

「学園内にはあんな風に、四年生の綾部喜八郎が掘った落とし穴がたくさんあるので気をつけてくださいね」



笑顔の攻防を繰り返しながら話している間に、結局私は医務室へと運ばれてしまった。

道中、姿は見えないのに子供がヒソヒソする声が聞こえてきて、非常に居た堪れなかった。


そんな私をものともせず、私の左の掌に消毒液をポンポンと付けながら善法寺さんが言う。



「っ……!」

「はい、痛いのは我慢」



……この人、絶対私が年上ってこと忘れてるな。



学園長先生に最初に会った時に側にいたのだから、私が十七だと知っているはずなのに、まるで年下の少女のように扱ってくるのだ。


この学園の人達からまともな対応を期待する方が間違っているのかもしれない。

年下扱いでも、嫌悪感を露わにされないだけまだマシだ。


そう思うことにした私は、聞いておきたかったことを口にする。



「落とし穴って他にもたくさんあるんですか?」

「罠を作る練習をしなくちゃいけないからね。今は喜八郎にも事情があるし、あまり強くは掘るなと言えないんだ。ここまでしか掘ってはいけないって深さの基準は決められているし」



……事情?



なんだ、事情って。


首を傾げた私に微かに笑った善法寺さんが、スッと遠い目をした。



「昨日から、また深く掘るようになってきて……。今の保健委員会には下級生も多いんだから、あまり深く掘られると困るんだけどなぁ」



その表情から天女様(わたし)絡みと察した私は、小さく溜息を吐く。

面倒くさい。

マジで面倒くさい。



「で、その綾部さん? って方は、保健委員なんですか?」



面倒くささを隠しもせず、私はクルクルと巻かれる包帯をぼんやり眺めながら乱雑な口調でそう聞いた。


口ぶりからしててっきり綾部さんは保健委員なのだと思ったけれど、違うらしい。

私の態度に苦笑いした善法寺さんが軽く首を横に振る気配がする。



「ううん。作法委員だよ」



作法委員ということは、落とし穴作るマンは仙蔵さんの後輩なのか。

おいおい仙蔵さんよ、私を守ってくれると言うのならまずはご自分の後輩を何とかしてほしいものである。

既にここに被害が出ているぞ。


そんな風に考えていた私は、善法寺さんの次の言葉に目をまたたくこととなる。

69話:ゲシュタルト→←67話:医者の不養生



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わそ姉大好きリスナー - Ahoy 学校行きたくねェェェェェェ 続編に出航〜♪ (2023年1月25日 9時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます!忍たまって鬼滅並みに難読苗字多いですよね笑。尼子先生の出身地の尼崎の地名から取っているそうなのですけれど、私も最初は漢字と読みがなかなか一致しなくて困りました。食満は初見じゃ絶対に読めないと断言できますよね! (2022年8月12日 19時) (レス) id: 23eb6548af (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - マジで夢主ちゃんに同感です。食満って名字、最初は「しょくまん」って読んでしまいますよね。私もアニメで聞くまでしょくまんだと思ってました! (2022年8月12日 19時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真白 | 作成日時:2022年4月28日 21時

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