25話:再びショック! ページ27
さっき五年生三人組から見下ろされていた時点で、藍色以上の着物は大きすぎるだろうな、と予想はできていた。
家で部屋着にしているパーカーは何年か前に子供服売り場で買った物だし、萌葱色の忍び装束もワンチャン入るかもな、とも思っていた。
だが、こういうのは入る入らないの問題ではないと思う。
ただでさえ五年生三人組から子供扱いされていたのだ。
三年生と同じ色の忍び装束を着ていては、完全にお子ちゃま認定されてしまうだろう。
……とにかく、自分が小学生と同じサイズだなんて、私は認めない。絶対に認めてやるもんかっ!
とりあえず着てみようと、私はなけなしのプライドを胸にシナ先生に着方を教わりながら袖を通す。
ぐるぐると腕を回したり、その場で足踏みをしたりと、ひと通りのサイズ確認をした後、私は満面の笑みで顔を上げた。
「ちょっと小さい気がします」
肩のあたりがなんとなく突っ張ってる感じがするのだ。
別に、三年生と同じ色が嫌だからとかではない。
断じて違う。
そうねぇ、と私の全身を見ていたシナ先生が、微かに苦笑しながら葡萄色の着物を手渡してくれる。
「もう少し大きい方が、ゆったり着られていいかもしれないわね」
大人ぶりたい小さい子を見るような目で見下ろされ、私はそっと明後日の方を向いた。
……ホントに小さかったんだもん。
「はいはい。着方は覚えた? もう一度教えた方がいいかしら」
シナ先生から子供に対してするように目線を合わせて話をされ、私は雷に撃たれたような衝撃に目をまたたかせた。
……シナ先生からも子供扱いされてる!
ショックだ。
非常に由々しき事態である。
私は本好きの変人扱いされることは歓迎できるけれど、こんな美人さんからお子ちゃま扱いされるのは嫌だ。
もう高校生なのだ。
そりゃもちろんシナ先生に比べたら色々と小さいけれど、そこまでちびっ子ではない。
……これは、私ももうすぐ大人だということをなんとしてでも証明せねばぁっ!
よくわからない燃え方をしながら、私は急いで葡萄色の忍び装束に着替える。
帯をキュッと結ぶと、ミスがないか確認してシナ先生に向き直った。
「どうでしょうか」
少し離れたところから試験監督のようにじっと私を見ていたシナ先生が、満足そうにこくりと頷く。
「完璧よ。一度で覚えられるだなんてすごいわね」
今まではひどかった、と呟く先生に、私は頭に疑問符を浮かべた。
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魚月(プロフ) - 小桜さん» わかります!めちゃくちゃあるあるですね!ありがとうございます。参考にさせていただきます! (2022年3月29日 20時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 魚月さん» そうなんです! 私も本大好きなんですよ〜。私の場合は、途中まで読んだ本を栞を挟んだりするんじゃなくて、開いたまま伏せて置くのが許せません! 型が残ってしまうので。……これは結構あるあるなんじゃないかな〜って思ってます! (2022年3月28日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - (続き)夢主ちゃんを究極の本好きにするため、本好きの友人達から「本好きあるある」を募って書いています。私はこうだな、というのがありましたら、ぜひ教えてくださいね! (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます! 夢主ちゃんと気が合いそうとは、小桜さんもなかなかの本好きですね。……実は作者もです笑。 (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - ヤバい……夢主ちゃんの言うことめっちゃ分かる……!! この子とは気が合いそうです! とても面白く、続きが楽しみです。更新頑張って下さい! (2022年3月28日 7時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真白 | 作成日時:2022年3月15日 9時