14話:働かざる者 ページ16
「今までの天女へのお給料はどうしていたんですか？」
いくら保護してもらうからといって、対価もなしに働くのは大変だと思う。
生活費を引いたとしても、いくらかはもらえていいはずだ。
「今までの天女様には給料をお渡ししておりませぬ。彼女達は仕事らしい仕事をしとらんかったし、生活に必要なものは与えておりましたからな」
『働かざる者食うべからず』という言葉もあるし、それも仕方ないよね、と頷きかけたところで気がついた。
給料を現金でもらっていないのならば、彼女達は街に行って何をしていたのだろうか。
ウインドウショッピングにしても、何か欲しくなったりするだろうに。
そう、例えば本とか。本とか、あと本とか。
そう思いながら顔を上げると、学園長先生は苦々しげに顔を顰めて頷いた。
「ご察しの通りじゃ。天女様達は、共に出かけた学園の生徒にせびっては、高い着物や菓子を買わせておった」
「ああ、それはダメですね」
奢られて当たり前という考え方の彼女達も、若いうちから女に貢ぐ生徒達も、そのままではいけないだろう。
殺されてしまった彼女達が現代に戻れたのかはわからないけれど、この学園にいる生徒達の考え方だけでも変えた方がいい。
親の庇護下にいるうちに金銭感覚が狂うと将来自分で稼ぐようになってから苦労するのだと、私は常々両親から言われている。
たいていの場合、本を買いすぎるな、というお説教もその後に続くのだけれど。
そういうわけで、金銭感覚は若いうちに正した方がいいのだ。
まあでも、生徒達にお金の教育をするのは親や先生であって、私の役目ではない。
私が今一番気にするべきことは自らの身の安全で、第二に本だ。
生徒達には自分のことを心配してくれる人がいるのだから、私まで気にする必要はないはずだ。
「では、私にもお給料はない、ということでしょうか」
閑話休題、とばかりに私は学園長先生の目を見て言う。
とんでもないとばっちりだな、と天女達のことを恨んでいると、学園長先生がゆるゆると首を振った。
「いいや。貴女の働き次第ですな。今までの天女様とは違う、とわかればそれ相応のお支払いをいたしましょうぞ」
……それって、天女サマと同類って判断された瞬間に殺されるやつじゃない？
思い当たった新事実に、私はひぅっと息を呑む。
だが、それは私が天女ではないと完全に証明できれば良いということでもあるのだろう。
……たぶん。
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魚月(プロフ) - 小桜さん» わかります！めちゃくちゃあるあるですね！ありがとうございます。参考にさせていただきます！ (2022年3月29日 20時) (
レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 魚月さん» そうなんです！ 私も本大好きなんですよ〜。私の場合は、途中まで読んだ本を栞を挟んだりするんじゃなくて、開いたまま伏せて置くのが許せません！ 型が残ってしまうので。……これは結構あるあるなんじゃないかな〜って思ってます！ (2022年3月28日 22時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - （続き）夢主ちゃんを究極の本好きにするため、本好きの友人達から「本好きあるある」を募って書いています。私はこうだな、というのがありましたら、ぜひ教えてくださいね！ (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
魚月(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！ 夢主ちゃんと気が合いそうとは、小桜さんもなかなかの本好きですね。……実は作者もです笑。 (2022年3月28日 19時) (レス) id: cd436a6c71 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - ヤバい……夢主ちゃんの言うことめっちゃ分かる……！！ この子とは気が合いそうです！ とても面白く、続きが楽しみです。更新頑張って下さい！ (2022年3月28日 7時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真白 | 作成日時：2022年3月15日 9時
