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「……どうして来たの」
「えへへ、ごめんねアイちゃん。……でもね、私一人じゃ、やっぱり帰れないの。ちゃんとみんなが安全にお家に帰れるまでは、私も一緒に居るよ」
本当は、ちょっとだけ追いかけようか迷った。
もうすぐ五時にもなるし、私が帰っても、コナンくんが居れば大丈夫かなって、思ったりしたし。
私が一緒にいたところで、きっと何の役にも立てないから。
……分かってるけど、でも、やっぱり帰れないんだ。
もし少しでもみんなが危険な目に遭う可能性があるなら、私がちゃんと、みんなを見てなきゃいけないもの。
だってそれが、
「______お姉ちゃんの役目だもん!」
「っ……」
私の言葉に、パッと目を見開いて息を呑むアイちゃん。
あまりにも長い沈黙に不安を募らせていれば、私が口を開くよりも早く、「好きにしなさい」とアイちゃんからお許しが貰えた。
一年生にお許しを貰う四年生って不思議だなぁ。
「あとね、心配してくれてありがとう、アイちゃん!」
「……別に」
『あの子、やけにAちゃんのこと気にかけてるよな。もしかして知り合い?』
「ううん、会ったことないよ」
みんなの輪に入っていったアイちゃんの背中を見つめながらそう返せば、「Aちゃんが会ったことないならほんとに無いんだろうね」と言って、研二くんはどことなく腑に落ちない顔を浮かべる。
記憶力だけは良いから、アイちゃんみたいな綺麗な女の子は絶対忘れないと思うんだけど。
今まであって来た人の顔は全員覚えてるし。
アイちゃんの顔だけ覚えてないなんて、そんなことあるかな。
「んじゃあオメーらは先にとしやくん家にランドセル取りに戻ってろよ。俺はちょっと、寄るところがあるから!」
『いや絶対あの怪しい男追いかけるだろコナンくん!!!』
「えっ?!?」
「ん?どうしたのAさん?」
「あ、ううん、なんでもない!」
どうしよう。みんなが安全にお家に帰れるまでは一緒にいるって言ったのに、早速二手に別れちゃった。
こっちには頼もしいアイちゃんが居るけど、みんなだけにして、何かあったら大変だ。
いやでも、コナンくんを危険な目に遭わせるわけにもいかないし……どうしたら。
「___彼、貴方達を追っ払って、一人であの男を追跡するつもりよ」
「なんだと?!おい光彦!コナンの後追うぞ!」
「全く、コナンくんはすぐ抜け駆けするんですから!」
「灰原さん!Aさーん!早くー!」
「……アイちゃん」
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宮野冬姫(プロフ) - それから、158の絶好の場所というセリフが格好の場所になってます (2022年7月10日 21時) (レス) @page12 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 150のパトカーのサイレンですが、ピーポーピーポーは救急車では? (2022年7月10日 21時) (レス) @page4 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
朱夢 - とても面白いです‼️いつも楽しく読んでます。寒いですが頑張ってください‼️ (2021年12月10日 16時) (レス) id: af58c4fc49 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - 更新ありがとうございます。しかし本当に警察学校組は若いですよね…。 (2021年12月10日 2時) (レス) @page48 id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
とーふ(プロフ) - 更新ありがとうございます!研二くんとじんぺーちゃん、警察学校組の皆と話している夢主ちゃん可愛い!記憶に残ってないのは悲しいですけどね…これからも更新頑張ってください! (2021年12月9日 18時) (レス) @page48 id: a9336fcc7d (このIDを非表示/違反報告)
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