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33話 ページ35

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「俺の妻をあまり困らせないでくれないか」



後ろからふんわりと煉獄さんの匂いが私を囲う。
大きな手の平で腰を引かれ、きゅっと背後から私を抱き締めていた。

柔らかで跳ねる髪の毛がレエス越しに私の首や、頬をくすぐった。



男の人は手を握った女がいきなり現れた第三者に奪われてしまったのだから、驚きを隠せない様子。



しかし、私も彼に何をされたのか理解すると鼓膜が破れそうな程心臓が激しく波打った。
激しい震えに私は腰を抜かしそうになる。



この人は……一体なんて?



「女性の気持ちを考えず迫って、困らせるのも言語道断だと俺は思うが」


どことなく悪戯で棘のある声に男の人は私から早急に手を離した。



「待たせてすまない_____A。先刻も言ったが、彼女は俺の妻だ。そうだろう?」



もしかしたら、初めて名前を呼ばれたかもしれない……A、と。
どきんどきんと動悸が打つ。



肩越しに彼は私を少し見て目線を送っている。これは、演技をしろという目線なんだろうか。

演技と言えど大したことはできそうにない。
彼の真似をして、前を向いて、彼の名前を呼んでみた。




『え…あ、はい…大丈夫です……________杏寿郎、さん』

煉獄さんが微かに揺れて、少しだけ彼の体に体を預けた。



男の人は耳を真っ赤に、顔を歪めて私達の前からいなくなった。




『煉獄さん、助かりました……ありがとう、ございます、煉獄さん?』


力が抜けるようにその拘束は解かれ、私は後ろを振り向いた。

自分の動悸はまだ騒がしくて熱が抜けないのに、煉獄さんは額に手をあてている。




『大丈夫ですか、煉獄さん』


「俺は………」


『はい』


「俺は、君がやはりおそろしい」




体の熱を逃がす息を吐いて、疲れた声で煉獄さんは言う。
眉間にシワを寄せて、苦しい顔をして、煉獄さんは言う。



私が、おそろしいと。



おそろしいというのはどういう意味なんだろう。




『(何を……考えているんだろう、この人)』




また悪い考え癖が始まろうとしていた時、

煉獄さんは大きく動いて、私の手を分厚い手の平で握った。




強引に引っ張れて、私は、まだこの人がよくわからなかった。




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茄子(プロフ) - 小説も挿絵も何もかもがとても素敵でした……素晴らしい作品をありがとうございます…… (1月25日 23時) (レス) id: 58113d68f6 (このIDを非表示/違反報告)
モルス(プロフ) - 涙が止まりません……こんな素晴らしい作品をどうもありがとう…… (12月2日 14時) (レス) id: d7cc26133c (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 香坂さん» 語彙力が!高い!!よもやよもやです……本当に書いていてよかったと感じました!これからも頑張ります! (10月12日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
香坂 - 言葉使いや書き方、表現に引き込まれました。一つの本を読み終えた時のような気持ちになり、とても良い作品だと心から思いました。このお話が読めてよかったです。 (9月18日 17時) (レス) id: c6f322a1f4 (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 神夜さん» 素敵!!ありがとうございます!!頑張った甲斐があります!ありがとうございます (9月15日 23時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年8月30日 21時

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