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21話 ページ23

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「ねえ、杏さま、気になる女性はいませんの?」


酒を含み、俺や宇髄、そして娼妓の彼女たちもほのかに酔いはじめた。
俺の腕に絡みつき、上目遣いで見上げる彼女からは麝香の匂いがする。


「ここでそう言う話をするのか?俺は君目当てで来てるんだが、」


彼女は嬉しそうな顔を浮かべて、猫のように頬を擦り寄せた。
だが別の彼女は言う。


「なに誤魔化されてるのよ。杏寿朗さま、本当にいないの?お役人となれば、女性との関わりだって多いでしょう?」

酒を呑むと強気になる彼女は宇髄のお気入りだ。


ここでは、俺達は役人という事になっている。政府非公式の組織(鬼殺隊)に所属する俺達はこの事を公に晒すことは少ない。増してや、鬼の存在の認知が大きくわかれる。
まあ、説明が面倒、という点もあるのだが……。




「杏寿郎さま、いっつも自分の事言わないじゃない」

宇髄の傍を離れた彼女は、不敵に笑う。



「_______私もあなたの事が、知りたいわ」



強気な彼女のその悪戯な言葉が、俺の中では、違う声で脳に響いた。



「あら!もしかしているのね?お仕事で出会った女性でもいいのよ?」

「それは俺も興味があるな、煉獄。どんな派手な女だ?」



宇髄、貴様もか。
だが、俺も相当酒が回っていた。


ただ純粋に、任務先で出会った女性……それを考えて、彼女を思い浮かべた。







「……鬼、だな」







よもや、俺はとんでもない事を言ってしまった……!

素っ頓狂な声と酒を吹き出す派手な音で、俺は慌てた。




「いや!違う!鬼のような女性、と言いたかったんだ!」


厳密には、彼女は鬼で俺は間違ってはいないが、この真実は毒だ。加えて、彼女は鬼のような女性からは掛け離れ、謙虚に振る舞い、男からは一歩引いて行くような女性だ。

全く……何を言っているんだ。



「強い女性なんですね、その人」


「今でもあってるの?」



いや、いつからか会っていないな。
あの山での仕事を終えてから、もうしばらく経つ。

「会っては、いないな」


「文通なさって見たら?喜ぶんじゃないかしら?」


確かに、鎹烏を飛ばすと言っても一度も彼女の元に飛ばした事はなかった。


「もうその話はいいでしょ?ねえ、杏さま、あたしに構ってくださいな」


色々と考え込んでいると、俺の腕に絡みつく彼女は拗ねた声をあげる。




白い肌、黒い髪、黒い目の色、それが彼女と重なった。




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おもち - 赤い花白い花の歌詞が入っていてとても惹き込まれましたー!とても素敵です!!! (2020年3月24日 21時) (レス) id: 2fd70573e8 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - 小説も挿絵も何もかもがとても素敵でした……素晴らしい作品をありがとうございます…… (2020年1月25日 23時) (レス) id: 58113d68f6 (このIDを非表示/違反報告)
モルス(プロフ) - 涙が止まりません……こんな素晴らしい作品をどうもありがとう…… (2019年12月2日 14時) (レス) id: d7cc26133c (このIDを非表示/違反報告)
愛郎素(プロフ) - 香坂さん» 語彙力が!高い!!よもやよもやです……本当に書いていてよかったと感じました!これからも頑張ります! (2019年10月12日 14時) (レス) id: 56f98660a0 (このIDを非表示/違反報告)
香坂 - 言葉使いや書き方、表現に引き込まれました。一つの本を読み終えた時のような気持ちになり、とても良い作品だと心から思いました。このお話が読めてよかったです。 (2019年9月18日 17時) (レス) id: c6f322a1f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛朗素 | 作成日時:2019年8月30日 21時

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